性的興奮を高める違法薬物・RUSHの恐ろしさを使用者が証言「クラクラして行為に集中できなかった」

「ずっとビクビクして暮らしていました」

行為後に二人は1時間ほど仮眠をとったらしいが、「目を覚ました瞬間から手足が痺れたようになり、頭の中がもやもやしていた」(小川さん)ため、寝ぼけたままの彼女を連れてホテルをチェックアウト。

車に乗り込んだものの、言いようのない倦怠感と片頭痛に襲われていたために運転を誤り、ガードレールに突っ込んでしまったという。

「皮肉にも、その衝撃で正気に戻ったような気がしました」

幸い二人ともケガはなかったそうだが、本来ならば自損事故として通報しなければならないところを違法薬物の使用がバレることを恐れた小川さんは、深夜で人目がなかったことを幸いにそのまま逃亡したという。

「それからはずっとビクビクして暮らしていました。目撃者がいなかったとしても防犯カメラに映っていたかも知れない…とか、事故現場に残っていた車の痕跡から足がつくんじゃないか、とか生きた心地がしなかったです」

しかも、RUSHの後遺症と思しき頭痛は翌々日まで続いていたらしい。

「彼女の方はしばらくして吐き気に悩まされたと言っていました。行為中のことは覚えていないそうです。イマイチ乗り気じゃなかった彼女に強引に吸引させたのは僕なのですごく気まずかったです」

セックスドラッグとしての「RUSH」が期待外れだっただけでなく、自分や彼女に対する健康被害に加え、犯罪を重ねることになってしまった小川さん。

「もしかしたら使い方が正しくなかったのかも知れないですね。安易な気持ちで手を出したのも間違いでした」

違法薬物に「正しい使い方」とは笑止千万だが、これに懲りて彼が二度と薬物に手を出さないよう祈るばかりである。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。