【戦後80年】肉の配給は月イチ1人37グラム 当時の主婦が知恵を絞った肉レシピ

 

オットセイが豚肉、牛肉の代替品に

しかしながら、そのわずかな肉の料理法に主婦たちは知恵を絞っていた。

『主婦之友』(1942年11月号)に掲載された配給食糧の使い方例では、いっぺんに食べるのではなく、繰り返し使うという何とも涙ぐましいレシピが掲載されている。

まず、肉を大切りのまま少量の油で焦げ目のつくまで炒め、お湯で煮込んでスープを取る。

その後、肉を取り出して野菜を煮込み、初日はこの野菜スープのみ。肉は保存して翌日、翌々日の具材にするというのである。

おすすめ料理は、ひき肉か細切れ肉を野菜と混ぜ合わせたメンチボールやコロッケ、キャベツ巻き、さつま汁やカレーライスなどで、いずれも少量の肉をなるべく大勢で分けられるように、工夫された献立が紹介されている。

また、牛肉や豚肉の代用食としては、地域によってオットセイの肉が販売されたほか、戦時中も沿岸捕鯨が続けられていたことから、鯨肉が主流となっていった。

そして肉の自給自足のために、ウサギの飼育も推奨されていた。

ウサギの肉は370グラム約40銭、毛皮は1枚約1円30銭で、軍部や農業団体が買い上げたという。

戦時下日本のリアル』第1章「戦時下の食生活」より一部抜粋