週刊実話読者にとって懐かしい作品?『キムズビデオ』は映画愛が詰まった問題作

ビデオテープを“救う”ドキュメンタリー

『キムズビデオ』は、かつてニューヨークにあったレンタルビデオショップ。店内に入れば、映画好きにはタマらない世界。大作はもちろんのこと、どこで手に入れたのか謎に思ってしまうようなレアな作品も豊富に揃っていたらしく、タイトルの数がなんと5万5000本!

でも、今はもうレンタルする人はおらず、キムズビデオも2008年に閉店。このときのオーナー・キムさんは会員がコレクションにアクセスできることも条件に入れ、イタリアのシチリア島のサレーミ市に収蔵と管理を一任。

数年後、キムズビデオの会員だったデイヴィッドはコレクションが気になりシチリア島へ。たどり着いたその光景にショックを受ける。なんと、埃を被って放ったらかしにされたビデオテープたちがあったのです。“ここから救い出さなければ!”と使命感に駆られたデイヴィッドは、映画の撮影だと偽り、とんでもない方法でビデオテープを“救う”。その模様を映し出したドキュメンタリーです。

経営者だったキムさんの行方も気になって探すことに。しかし、キムさんを探す“愉快な旅”というよりも、いろんな意味で、ギリギリアウトかな(笑)。

でもね、何だか映画愛が詰まっている、かなりの問題作。どこかで“見てはいけないものを見た”気にはなりますが、『週刊実話』を昔から読んでくれている方なら、きっと懐かしい時代を思い出すでしょう。

キムズビデオ
監督、編集:アシュレイ・セイビン、デイヴィッド・レッドモン
出演:キム・ヨンマン、ショーン・プライス・ウィリアムズ、アレックス・ロス・ペリー、ディエゴ・ムラーカ、エンリコ・ティロッタ
配給:ミュート、ラビットハウス
8月8日(金)~ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

「週刊実話」8月21・28日合併号より

LiLiCo(リリコ)

映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。