イチローが野球殿堂入りスピーチで「大谷翔平」の名前を出さなかった当然の理由

イチロー (C)週刊実話Web
メジャーの野球殿堂入りを果たしたイチローが、日本時間7月28日にニューヨークでの表彰式に出席。約19分にわたるスピーチを英語で行った。

今年1月、日本人選手で初めてアメリカ野球殿堂入りを果たしたイチロー。スピーチ内では小学生からの野球人生を振り返り、日本人メジャーリーガーについても触れたのだが、今や歴史上1番の野球選手となった大谷翔平については触れなかった。

これに野球ファンの一部から「野球界最高は大谷」「羽生が藤井に触れない様なもんやろ」「イチローも完敗認めてるようなもの」といった声が上がった。

代わりに何度も名前が出たのが、日本時代から対戦歴があり、イチローの記念すべきプロ初ホームランの相手でもあった野茂英雄だ。

イチローは日本時代を振り返る中で、「苦悩が続いていた時期に、歴史的なことが起こりました。野茂英雄さんという、日本からメジャーに移籍した選手を人生で初めて見ました」とスピーチで述べ、「彼の成功は多くの人を触発し、私もその1人でした」と影響を受けたことを告白する。

さらに「彼のおかげで、日本で常にMLBのニュースが流れ、MLBの試合もテレビで放送されました。野茂さんの挑戦のおかげで突然、開眼し、自分も想像もしなかった舞台に挑戦したいと考えるようになりました」と讃えると、最後に日本語で「野茂さん、ありがとうございました」と語った。

【関連】“玉木首相”の隠し玉 国民民主が参院選にイチロー氏を擁立へ ほか

イチローは大谷翔平もリスペクト

野茂への感謝は、イチローがスピーチ内で唯一日本語を発した場面。英語での称賛もさることながら、いかに野茂をリスペクトしているかが分かる。

たしかに、大谷は歴代イチの野球選手だが、今回のスピーチでは名前が出てこないのも頷けるだろう。

そもそも、イチローは大谷に妬み嫉みを抱いているわけではなく、その才能をしっかりと認めている。

2019年の引退時、イチローは記者会見で、当時メジャー2年目に入るタイミングだった大谷を「世界一の選手にならなきゃいけない」と称した。

さらに「サイ・ヤング賞とホームラン王を獲る、そんなこと考えることすらできないですよ。でも、翔平はその想像をさせるじゃないですか。この時点で明らかに人とは違う選手」「ピッチャーとして20勝するシーズンがあって、その翌年には50本打ってMVP獲ったら、これは化け物ですよね。でも、それは想像できなくないですからね」と、当時は未完だった二刀流に期待を寄せていた。

この言葉通り、大谷は昨年、54本塁打でナ・リーグホームラン王を獲得。2022年に投手として15勝あげており、イチローの言った活躍に限りなく近い成績で歴史上ナンバーワンの野球選手となっている。

野茂といえば、日本人メジャーリーガーのパイオニアであり、彼の存在なくしてイチローも大谷もいなかったと言っていい。その先人と歴代イチの野球選手に敬意を表すイチローは真の野球人だろう。

「大谷にも触れろ」「嫉妬しているのか」とはなんたる言いがかりで不毛なことか。