【難読漢字よもやま話】「漸く」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


正解は「ようやく」
【語源と漢字の由来】
「漸」という漢字は、もともと「水が少しずつ染み込む」「徐々に水に浸かる」といった意味です。さんずい(氵)に「斬(ざん)」(刀で切り刻む、転じて徐々に進む意)が組み合わされており、水が細かく砕けながら少しずつ浸透していく様子を表しています。

この「少しずつ」「徐々に」という意味合いが、「長い時間や困難な過程を徐々に経て、ついにその時点に至る」という「ようやく」の意味と結びつき、この漢字が当てられるようになりました。

ちなみに、「ようやく」という言葉自体の語源は、古語の「ようよう(漸々)」が変化したものだと言われています。

「ようよう」も「次第に」「徐々に」という意味と、「やっとのことで」「かろうじて」という意味の両方を持っていました。

例えば、平安時代の文学作品などにも「ようよう」という形で「やっと」のニュアンスで使われている例が見られます。

このように、「少しずつ進む」という漢字の本来の意味が、「時間をかけてやっと到達する」という言葉の意味と融合し、「漸く」という表記が定着したとみられています。

ようやく夏休み!!
【漸くの使い方】
元は「やっと」「ついに」といった意味合いで使われており、長い時間や努力を経て目的を達成した際の表現として用いられます。例えば、「試験に漸く合格した」や「やっと仕事が終わった」などの意味合いで使われることが多いです。