「トンカツをいつでも食える」のは富裕層だけ? エサ代高騰と猛暑で豚肉が史上最高値に

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ビタミンB群を豊富に含んでいることで夏バテ予防に良いとされる豚肉が、エサ代の高騰と猛暑で取引価格が高騰し、庶民の“豚肉離れ”が懸念されている。

牛肉と比べて価格が安く、食卓でも重宝される豚肉は、数年前から値上がり傾向にあった。だが、東京都中央卸売市場では7月18日時点で、国産豚肉の取引価格が1キロ当たり948円と、統計の残る2000年以降で最高値を記録している。

「牛は粗飼料(わら類など)や牧草などがエサになりますが、豚はトウモロコシ、大豆といった農耕飼料。そのため、豚のエサは海外からの輸入が多くを占めている。
ロシアのウクライナ侵攻以降、原油高で輸送コストが上昇したうえ、ここ数年は円安も重なりエサ代が高騰しているんです。
加えて、昨夏の猛暑。豚は暑さに弱いため、種付けが上手くいかなかったり、流産したりして出荷頭数が減少した。
また、暑さにより豚が十分にエサを食べることができないため生育状況が悪い。それらが要因で豚肉の価格高騰につながったんです」(豚肉仲卸業者)

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とんかつ専門店でも値上げか

今年は5月から夏日が続き、6月は気象庁が1898年に統計を開始して以降、過去最高の平均気温を記録した。そして7月、8月も猛暑…。昨年以上に豚へ悪影響を及ぼしているのは想像に難くない。

「東京都内のとんかつ専門店を覗くと、豚は多くのビタミンB群が含まれて夏バテ解消になるということで、とんかつ定食やカツ丼を注文するお客が後を絶ちません。
日高屋などの中華ファミリーレストランでは、豚肉の生姜焼き定食を食べている方が多いですよ」(フードライター)

豚肉の価格高騰が続けば当然、豚肉を使用したさまざまな食品の値上げは避けられない。

「スーパーではすでに豚肉の価格が上がって、買い控えるお客さんも増えています。このままだと、とんかつ専門店でも値上げしなければやっていけない。“豚肉離れ”が起こりますよ」(消費生活ライター)

政府はコメだけでなく、豚肉の値上げを回避する対策が急務だ。

「週刊実話」8月14日号より