“関係人口”1000万人創出 まやかしの人口減対策に地方首長も苦言「おとぎ話をされても困る」

石破茂(C)週刊実話Web
仕事や趣味で居住地以外の地域に継続的に関わる「関係人口」を10年後に1000万人創出する――。

政府がそんな目標を掲げた地方創生の基本構想をまとめた。人口減少対策の一環だが、自治体の首長からは早速批判の声が…。

石破茂首相は初代地方創生担当相で、地方創生をライフワークにしている。

政府は関係人口を増やす取り組みを可視化するため、居住地以外に継続的に関わる地域を登録する『ふるさと住民登録制度』を創設する方針。第2の住民票をつくろうというわけだ。

2024年に国内で生まれた日本人の子供の数は68万6061人で、初めて70万人を割った。

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島根県知事「怒りではなく、悲しみを覚える」

少子化に歯止めが掛からない状況が続いており、高齢化の進展とあいまって人口減少が止まらない。東京一極集中は続き、地方の過疎化も進む。

関係人口を増やすというのは、人口減少社会に対応するための苦肉の策といえよう。この取り組みに対し島根県の丸山達也知事は「おとぎ話をされても困る。怒りではなく、悲しみを覚える」と噛みついた。

「関係人口が定住人口につながらなければ意味を感じない。緩い空気みたいなふわふわした人口を追いかけることは理解し難い。我々が直面しているのは住む人、働く人が減り、離島の航路や路線バスが減便していくことにどう取り組むかだ」ごもっともな指摘であり、SNS上でも「同じパイをかき混ぜても人口は増えない」「なんのメリットがあるのかが想像できない。自治体の職員に丸投げして、自治体がさらに疲弊することだけは分かった」「税制を含めもっと制度設計しないと絵に描いた餅で終わる」などと辛辣な声が相次いでいる。

「都市部の人のみが登録するとは限らないわけで、地方の人が東京などの都市部にふるさと住民登録するケースが続出した場合、東京一極集中に拍車が掛かることになりかねない。人口減少社会への対応策としては不十分で、地方が活性化するとは到底思えません」(全国紙の総務省担当記者)

ふるさとは遠きにありて想うもの。

「週刊実話」8月14日号より