CUTIE STREET、日向坂46を超えた! 新世代アイドルが坂道グループの牙城を揺るがす

CUTIE STREET オフィシャルサイトより
アイドルグループ・CUTIE STREETの勢いが止まらない。

2ndシングル『キューにストップできません!/ちきゅーめいくあっぷ計画』が7月23日に発売され、Billboard JAPAN週間シングル・セールス・チャートで初登場2位(50.5万枚)を記録し、アイドル業界や界隈のファンに衝撃を与えている。

この数字は、今年5月に発売された日向坂46の最新シングル『Love yourself!』のBillboard初週49.8万枚を上回る。

しかし、オリコンの週間シングルランキングでは、CUTIE STREETが初週37.8万枚、日向坂46が初週41.3万枚で、日向坂46が僅差で上回る形となった。

だが、ここには注目すべきルールの差がある。

オリコンは《商品形態数に関わらず、1イベントあたり購入者数×3枚を上限》とする“3枚ルール”を設けており、いわば「ファンの母数」を測る指標だ。

一方のBillboardは、販路を問わず純粋な販売枚数をカウントする「実売指標」とされている。

「Billboardとオリコンは“見ているもの”が違います。どれだけCDが流通したかと、どれだけ多くのファンが動いたか。CUTIE STREETの数字は、少数の熱狂が支える課金構造を可視化したものですね」(音楽業界関係者)

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CDは通貨、目的は“推しとの密着体験”

CUTIE STREETの驚異的な売上の背景には、極限まで高められた接触密度がある。

今作には、今年4月から過密なリリースイベントが組まれており、メンバーが全国を飛び回っている。各地でのリリースイベントや特典会、オンラインイベント、店舗別の先着オリジナル特典なども用意されていた。

あるファンはこう証言する。

「正直、CDは通貨。10枚でも20枚でも買うのは、体験の入場券を手に入れるためです。推しと向き合える機会に投資してる感覚に近い」

つまり、売れているのはCDではなく、推しとの関係性という物語。もはや握手会は古いものになり、「触れる」「撮れる」「話せる」が当たり前となった今、その先を提示したのがCUTIE STREETだったのかもしれない。

さらに注目すべきは、グループの構成人数の違いだ。

日向坂46は今年5期生が加入し、総勢30人の大所帯。一方で、CUTIE STREETはたった8人。1人あたりのCD売上換算では、CUTIE STREETが圧倒的な稼働力を見せたことになる。

CUTIE STREETはテレビや雑誌といったメディア露出は多くない。それでも彼女たちは、TikTokやYouTubeを軸に、ファンと共に物語を作り上げていくアイドルとして急成長を遂げている。

彼女たちの所属するアソビシステムの「KAWAII LAB.」プロジェクトは、FRUITS ZIPPER、CANDY TUNEといった人気グループを手がける、いま最も勢いのあるアイドルインキュベーション事業だ。

「CUTIE STREETの戦略は、世界観と物語を一貫して届けること。マス向けの“誰にでも好かれるアイドル”ではなく、“私の推し”としてカスタマイズされた体験を提供している」(音楽マーケティング関係者)

彼女たちは“みんなのアイドル”ではなく、“あなたのポップスター”なのである。

長らくアイドル業界の頂点を走ってきた坂道グループだが、今その構造は静かに揺らぎ始めている。

マスメディアによるスターシステムから、SNSとイベントを中心とした関係消費モデルへ。CUTIE STREETの快進撃は、その時代の変化を象徴する出来事かもしれない。

“坂道を登った”のは、たった一度の記録か、それとも始まりなのか。