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神戸山口組・舎弟頭補佐の自宅発砲!“警告の銃弾”裏側

銃撃を受けた藤原舎弟頭補佐の自宅 (C)週刊実話 無断転載禁止

物々しいパトカーの赤灯や「立入禁止」と書かれた黄色い規制線は、自然に囲まれたのどかな環境を一変させた。住宅が点在する地域にあって、ひと際、目を引く豪華な戸建てを取り巻くように規制線が張られ、陽が落ちた中で現場検証が進められていた。

その家の主は、神戸山口組(井上邦雄組長)の舎弟頭補佐を務める藤原健治・三代目熊本組組長(岡山)で、事件の被害者だった。

「藤原組長の家が撃たれた。犯人は出頭したようだ」

業界内に事件の一報が広まり、組織関係者らに衝撃が走ったのである。

5月30日の午後6時半ごろ、岡山県倉敷市にある藤原組長の自宅に複数発の銃弾が撃ち込まれた。四方は道路と畑、空き地に囲まれており、周辺には病院やアパートなどが間隔をあけて建っている。それでも、近隣住民は銃声を耳にしていたという。

「そのときは拳銃の音だとは思わなかったし、何回聞こえたかも定かではない。爆竹のような音がするとは思った」(近隣住民A)

藤原組長の自宅は、高さ約2メートルのコンクリート塀と大理石の外壁に囲まれ、塀の上部には外からの侵入を防ぐ尖った柵も設置されている。防犯カメラも取り付けられており、豪華な造りだという理由のみならず目立つ建物だった。

「どこの組織なのかは知らなかったけど、『組長の家』だというのは聞いていた。組員が大勢来たり、派手な出入りは見たことなかったけどね」(近隣住民B)

敷地の外から目視できる範囲には、防犯カメラが複数台設置されている。しかし、犯人は堂々と敷地内に立ち入っていた。

玄関脇の壁面などに弾痕が残されていた (C)週刊実話 無断転載禁止

「門から玄関先までは数メートルあり、門を開けて敷地内に侵入しています。玄関扉の正面に立って発砲したようです」(全国紙社会部記者)

意図的に残した1発の銃弾

銃弾は、玄関の大理石の外壁など5カ所に命中。犯人が侵入した際、万一にも扉から人の出入りがあれば、状況は変わっていた恐れがある。

「犯人は回転式拳銃2丁を所持しており、発砲後、1丁を敷地内に放置して逃走していました。その後、銃弾1発が装填されたままの拳銃を持って、岡山県警倉敷署に出頭し、当日の夜、銃刀法違反の容疑で現行犯逮捕されています」(同)

意図的に銃弾1発を残していたのかは定かではないが、組織関係者らは「やり方を知っている人間だ」と口を揃えた。

「襲撃した場合、弾は撃ち尽くさずに1発残しておくもんや。相手の組員に追われて逃げ切れなかったら、こっちが殺されてまうやろ? せやから、〝お守り〟として1発だけは撃たんようにするんや」(関西の組織関係者)

藤原健治舎弟頭補佐 (C)週刊実話 無断転載禁止

業界内では、発生当初から六代目山口組(司忍組長)による犯行との見方が強く、実際、逮捕された男は、熊本組と同じ岡山県内に本拠を置く三代目杉本組(山田一組長)の傘下組員だった。

「杉本組の西田真一若頭のとこにいる河島秀之組員やった。六代目山口組の阪神・中四国ブロックからは、森尾卯太男本部長の大同会(鳥取)などからも実行犯が出とる」(同)

岡山県内では、5月に抗争事件が集中している。山口組分裂の翌年である平成28年5月31日には、当時、神戸山口組傘下だった池田組(池田孝志組長=岡山)の髙木昇若頭が、三代目弘道会(竹内照明会長=愛知)系組員によって射殺された。さらに今回の事件から、ちょうど1年前にあたる昨年5月30日には、同じ池田組の前谷祐一郎若頭が大同会最高幹部に銃撃され、重傷を負った。

「池田組は昨年7月に神戸山口組を脱退しとって、独立組織として岡山県内で活動を続けとった。藤原組長の熊本組では、今年に入って若頭を筆頭に最高幹部たちが六代目山口組に移籍して、二代目若林組(篠原重則組長=香川)に入ったんや。今回の発砲事件は、神戸側に残り続ける藤原組長への〝プレッシャー〟やとみとる。六代目側は、岡山への進撃を加速させとるんとちゃうか」(同)

同じ5月30日…因縁めいたものを感じる

実行犯の河島組員は容疑を認めているが、肝心の動機について「個人的なもの」と供述しているという。

「そうは言うても、岡山では5年前に射殺事件があって、1年前には銃撃事件、今回も同じ5月30日に発砲があるとは、因縁めいたもんを感じるで」(同)

六代目山口組の「幹部」だった藤原組長は、山口組が分裂した平成27年の11月に神戸山口組に参画。現役直系組長の移籍は初めてで、岡山県内での勢力図が大きく変わった。

「藤原組長の移籍によって、県内に本拠を置く六代目側の直系組織は一時期、二代目大石組(井上茂樹組長)だけになった。岡山には山健組勢も多くいたから、六代目側としては面白くなかったはずだ」(地元関係者)

今回、実行犯を出した杉本組の山田組長は、神戸山口組・二代目宅見組(入江禎組長=大阪中央)に所属していたが、独立組織となったのち六代目山口組に〝帰参〟。ところが神戸側の池田組に参画し、再び六代目側に戻って直系組長に昇格している。

「池田組に入ったのは一時的なもので、敵情把握が目的だったとか憶測が飛び交った。今回、その杉本組が実行犯を出したことで、神戸側はさらに警戒を強めるだろう。何せ、直系組長の自宅に撃ち込まれたのは初めてのことだから」(同)

現在、神戸山口組の直系組長は15人で、執行部メンバーは入江禎副組長を筆頭に、寺岡修若頭(俠友会会長=兵庫淡路)、藤原舎弟頭補佐、宮下和美舎弟頭補佐(二代目西脇組組長=兵庫神戸)、4人の若頭補佐で構成される。

その中で、一昨年11月に青木和重若頭補佐(五龍会会長=北海道)の自宅兼事務所が襲撃され、昨年11月には仲村石松若頭補佐(三代目古川組組長=兵庫尼崎)本人が銃撃された。

他の最高幹部にも危害が及びかねない…

「今回、藤原舎弟頭補佐の自宅が狙われ、〝ターゲット〟とする神戸山口組のポストが上がった印象だ。警告だったとすれば、他の最高幹部にも危害が及びかねないと、警察も注意を払っているようだ」(業界ジャーナリスト)

同様の例では、平成29年6月に神戸山口組トップ・井上組長の兵庫県内にある別宅で発砲事件が発生。当時、井上組長は勾留中のため不在だったが、その意味を多くの組織関係者らが感じ取っていた。

「組事務所への撃ち込みと、プライベートな場所への攻撃には違いがある。自宅や別宅を狙うのは、より対象者に接近していると言っていい。しかも、今回の犯行は敷地内に入って玄関まで近づいているのだから、警告の度合いも強いのではないか」(他団体幹部)

両山口組の抗争は、新型コロナの緊急事態宣言によって半年間、膠着状態にあったが、藤原組長宅への発砲事件によって再び激化するとも予想される。

「六代目山口組の戦略としては、事件によって神戸山口組の反応をうかがい、その結果次第で次の攻撃に備える可能性がある。あくまでも、抗争終結に向けて武力行使を続けるという姿勢が明確になった。それは、組織の存続を掲げる井上組長の心情に、訴え掛けることにもなるだろう」(前出・業界ジャーナリスト)

だが、井上組長の「最後まで戦い抜く」という意志は固いようで、分裂抗争は持久戦の様相を呈している。

死者7名を出し、約6年にわたって続く対立が再び激化したとき、それは両山口組の明暗を分ける最終決戦になるかもしれない。

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