蝶野正洋がウルフ・アロンのプロレス転向を考察「実績、知名度ともに優れているだけに、どう育てるか」

ノアでは凱旋帰国したOZAWA選手が人気

でも、それがファンには伝わっていなかったから、デビュー戦からイメージが違うという批判を浴びることになってしまった。

ファンの期待に応えることと、本人がやりたいことのバランスを取るには、団体側のプロデュースやサポート力が必要。

特に実績のあるアスリートは、普通の選手が一つずつ上がっていかなきゃいけないステージを一足飛びにできるけど、その最初の一歩を踏み外すと修正するのが大変なんだよね。

ウルフ選手はバラエティー番組などでも受け答えがうまかったし、もともとプロレスファンで、いろいろな試合を見てきているというから対応できるとは思う。

プロレスファンは、その選手がどれだけプロレスのことを好きかどうかを見ているから、それがしっかり伝われば大丈夫だよ。

一方、プロレスリング・ノアは、凱旋帰国してからすぐにトップに立ったOZAWA選手が人気を牽引していて、後楽園ホールを連日満員にするなど調子が上がってきている。

俺も5月に両国国技館大会の解説で入ったけど、確かに会場の熱気が高まっているように感じた。

ただ、知り合いのプロモーターに話を聞くと、地方大会などではまだOZAWA選手の人気に火がついておらず、集客に苦労していると言っていた。

いくらネットで話題になっても、テレビで取り上げられないと全国的な知名度を獲得するのが難しい。スマホが普及して情報格差が縮まったというけど、現実的には地域差というのは存在している。

情報ツールは進化したけど、全国的なスターを生み出す方法というのはあまり変わってないのかもしれないね。

「週刊実話」8月14日号より

蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)

1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。