平幕優勝・琴勝峰への期待と不甲斐ない両横綱に課せられた“夏巡業の試練”

佐渡ケ嶽部屋の公式サイトより
またニューヒーローの誕生だ。愛知県名古屋市のIGアリーナで行われた大相撲名古屋場所は、東前頭15枚目の琴勝峰の初優勝で幕を閉じた。

4年ぶりに東西に出揃った横綱の豊昇龍は早々に休場、同じく新横綱の大の里も失速するなど、上位陣が相次いで低迷し大混戦となった。

そして千秋楽、同場所で大活躍の安青錦を鮮やかに突き落とし、決着をつけた。

平幕優勝は38回目。佐渡ヶ嶽部屋からの優勝者はちょうど10人目。快挙をやってのけた琴勝峰は声を弾ませた。

「まだ感情がついてきていないけど、うれしい。安青錦戦は、考えてもしようがないので、思い切ってぶちかましていこうと。(2年半前、貴景勝との千秋楽相星決戦に敗れた)前回の経験が生きました。これからも、上に、上に、三役、その先を見据えてがんばりたい」

力士が大成する裏には、横綱稀勢の里や大関貴景勝らを見ても分かるように父親の貢献や影響が大きい。

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琴勝峰の初優勝の裏でふがいない横綱陣

琴勝峰も、千葉県柏市内で居酒屋『達磨(だるま)』を営み、60歳になったいまでも週5回、ジムに通ってトレーニングしているというボディビルダーの父親・手計学さんを抜きに語れない。

幼稚園のときから相撲を始めた琴勝峰に、さまざまな文献をあさってトレーニング法や食事を与え、190センチ、167キロという大の里に負けないような恵まれた体の礎を築いた。

師匠の佐渡ヶ嶽親方(元関脇琴ノ若)は「近い将来、琴桜と東西の横綱に並び立つ」と夢を膨らませる。

その一方で、不甲斐なかったのは豊昇龍、大の里の横綱陣。とりわけ、新横綱優勝を期待された大の里は、史上ワーストの4個もの金星を配給し、13日目には優勝戦線から姿を消した。

「安易な引き技や土俵際の腰高など宿題は山積している。間もなく8月3日の大阪・関西万博場所を皮切りに1カ月近い夏巡業が始まる。
どこまで自分と厳しく向き合い、追い込むか。夏休みを楽しむ暇はない」(協会関係者)

夏を制する力士が秋場所を制する。

「週刊実話」8月14日号より