“反スパイ法違反”アステラス製薬の日本人社員が中国で懲役3年6カ月の実刑判決

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中国・北京市の裁判所、第2中級人民法院は7月16日、アステラス製薬(本社・東京都中央区)に所属する60代の日本人男性社員に、スパイ活動を行ったとして反スパイ法違反で懲役3年6カ月の実刑判決を言い渡した。

関係者によると、裁判の中でこの男性社員は罪を認めたという。

判決では男性社員が日本の情報機関の依頼を受け、中国国内の情報を提供して報酬を得ていたことがスパイ活動に当たると認定された。

この情報機関は公安調査庁との見方もある。

しかし、男性社員が実際にスパイ活動を行ったかどうかは明らかにされていない。

「国家の安全に関わる問題」として非公開のまま処理されたが、スパイ活動で報酬を受け取っていたことを認めたとすれば極めて珍しいケースだ。

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“異例の軽い量刑”の裏側

過去には反スパイ法違反で有罪判決を受けた日本人の多くが、10年前後の長期刑を科されてきた。

その中で、今回の3年6カ月という量刑が“異例の軽さ”になったことに、関係者の間では驚きの声が上がっているという。

この背景には、中国特有の司法制度である「認罪認罰制度」がある。

これは、被告が罪を認めることで審理が迅速化され、刑罰が軽減される仕組みだ。

日中関係筋は「男性が本心から認めたのか、刑を短くするために認めたのか分からない」としている。

判決に対する上訴期限の同28日までに男性は上訴しない意向を示していた。

中国の刑事訴訟法によると、未決勾留日数として少なくとも2年分が算入される見通しで、残る刑期は1年半程度とみられる。

日本政府は引き続き早期釈放を求めていく方針だ。

アステラス製薬は2005年、山之内製薬と藤沢薬品工業が合併して誕生。’25年3月期の売上高で武田薬品、大塚HDに次いで国内第3位を誇る大手製薬会社。

「週刊実話」8月14日号より