「防災は未来へのプレゼント」フリーアナウンサー・奥村奈津美氏が自宅を最強の避難所にする方法を伝授

『大切な家族を守る「おうち防災」』辰巳出版/1,500円(本体価格)
『大切な家族を守る「おうち防災」』著者:奥村奈津美(おくむら・なつみ)
広島ホームテレビ、東日本放送(仙台)、NHK広島放送局で地方局アナウンサーとして活動。その後、東京に戻りフリーアナウンサーに。防災士、福祉防災認定コーチとして防災活動に携わるとともに、「防災×気候変動」をテーマに取材、発信中。2歳児の母。

私たちは「気候変動の影響を受ける最初の世代」

――水害に備えるためにはどうすればよいですか?
奥村「近年は気候変動の影響もあり、線状降水帯やゲリラ豪雨など、激甚な水害が毎年発生しています。
日本の年平均気温はこの100年で1.35度上昇。私たちは『気候変動の影響を受ける最初の世代』といわれており、今後これまでにない水害を経験する恐れがあります。
まずは避難が必要な場所に住んでいるかどうかを国土交通省の『重ねるハザードマップ』や、私が監修した防災サービス『#pasobo』などを活用して確認してください」

――自宅を最強の避難場所にする方法を紹介していますね。
奥村「自宅が安全であれば、避難所に行かずに『在宅避難』という形で被災生活を送ることができます。
大規模災害時には、電気・ガス・水道・通信といったライフラインが途絶える可能性があり、1週間分の代替手段を備えておくことが重要です。
災害時は水洗トイレが使えなくなることが多いため、災害用トイレなどを事前に準備しておきましょう。
また、水やカセットコンロ、ボンベがあれば、冷蔵庫の中の食材や備蓄食品を調理することができます。ポータブルバッテリーやソーラーパネルと併せて使えば、自宅を最強の避難場所にできるでしょう」

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非常持出袋は「体の一部になるもの」の確認を

――「非常持出袋」はどのように作るのでしょうか?
奥村「市販の防災リュックも便利ですが、実は最も大切なものが入っていないことが多いのです。
それは、メガネ、補聴器、入れ歯、お薬など、『体の一部になるもの』です。必ずご自身で追加しておきましょう。 非常持出袋は、玄関の靴箱など、すぐに持ち出せる場所に置いておくのが理想です。
また走って逃げられる重さに抑えることもポイント。夜間の避難に備えてはヘッドライトを、雨の日に備えてレインウェアなど、避難時の状況を想定した装備も一緒に準備しておくと安心です。
避難所には着替えやタオルなどの用意はないため、着替えやタオルは必ず入れておいてください。
非常持出袋は、1人に1つが基本です。お子さんが小学生くらいになったら、中身を親子で確認しながら作ることで、自然と防災への関心や行動力も育まれていきます」

――災害に備えて普段から心がけておくことは?
奥村「防災は未来へのプレゼント。ぜひ、大切な家族や自分にプレゼントを送る気持ちで取り組んでいただきたいです」

(聞き手/程原ケン)

「週刊実話」8月7日号より