記録的な猛暑で被害急増 今年は全国的なスズメバチの猛威にご用心

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昨年を超える記録的な猛暑が予想されている今年の夏は、作物の生産量の減少や熱中症などの被害が例年以上に叫ばれている。

そうした中、専門家たちが注意を呼びかけているのがハチの被害だ。特に、人命を脅かすスズメバチの猛威は、今年は深刻といわれている。

「スズメバチはベランダや軒下、木の穴、屋根裏、床下、土の中などに巣を作り、近づいただけで攻撃されることも多い。被害のピークは7月~10月と言われ、その中でもアシナガバチや大スズメバチは女王バチが1匹で巣作りを始め、6月頃になると働き蜂が羽化して急激に数が増える」(昆虫評論家)

近年は温暖化の影響からか、全国的に被害件数が増えているが、今年は働き蜂が増える6月に雨量が少なかったことが悪影響を及ぼしているという。

「6月は、全国的にまとまった雨が降ることが少なく、35度を超える高温が続いた地域も多かった。九州、四国、近畿、中国地方においては、例年よりも18日から20日早い梅雨明けが発表された。この天候がハチの増加を促しているらしいのです」(気象専門ライター)

20万件以上のデータをもとにハチの発生状況を数値化している『ハチ110番 全国ハチ発生指数』(7/23調べ)によると、35度を超える気温と雨量の少なさに比例するかのように、東京、北海道、岐阜などで被害が多く、さらに茨城、福井、愛知、高知、山口の5県では、それ以上の数のハチが発生しているという。

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台風が少なくハチの巣の巨大化

また、同サイトの昨年のデータによると、スズメバチの駆除件数は8月がピークで2万5000件超え。しかし、今年はそれを上回ることが予想されているという。

「気温の上昇とともにハチが活発化する理由の一つに、巣の温度を下げるために水を運ぶ習性があります。つまり、このハチの行動を頻繁に目撃することになれば、当然、被害も増えるわけです」(前出・昆虫評論家)

さらに致命的なのは、今年の前半は台風が少なかったこともハチの巣の巨大化に拍車をかけているというのだ。

「スズメバチは雨風が苦手で、例年は台風の豪雨によって一定数のハチの巣が壊れていたんです。
しかし今年は、6月に入るまで台風が1つも発生していない9年ぶりの異常気象。7月14日時点で台風5号が確認されているが、これまでほとんど直撃していないため、ハチの巣も例年以上の数が予想されているのです」(同)

今後台風の発生が増えたり、上陸や直撃が増えれば多少はスズメバチの数も減るはずだが、異常発生が予想されているだけに、そうした事態が訪れても付け焼刃との見方もある。

そのため、夏から秋にかけては黒い服を避けたり、巣の近くには近寄らないことが、唯一の自己防衛策となるかも。ちなみに毒針を持っているのはメスのみ。飛び回っている働きバチはすべてメスなので気をつけていただきたい。