日本が消費税減税できない理由はない! コロナ期は91の国と地域が減税を実施

消費税を5%へ引き下げで好循環に

そこで政府は9月末までとしてきたガソリン代と電気代を抑制するための事業者への補助金を、年末まで延長することを決めた。

しかし、その内容はあまりに貧弱だ。例えば8月までキロワット時あたり7円だった電気代の補助金は、9月からは半額で継続される。

昨年は1リットルあたり最大35円を出していたガソリンに対する補助金は、今回10.2円に抑え込んでいる。

なぜ、そんなに対策がセコいのか。

エネルギーに対する補助金は、昨年度の第二次補正予算で措置されたが、それが2兆円ほど残っている。今回の対策は、その残りの予算で済まそうとしているのだ。

今年度の予算にも物価高対策のための予備費を4兆円も計上している。

これだけ物価高で国民が苦しんでいるというのに、小出しの対策しか打たないのだ。

ただ、ガソリンへの補助金支出には、二つの批判がある。

一つは車を所有しない人への恩恵が少なく、不公平だというもの。もう一つは、化石燃料の値上がりを補助金で抑制すると、再生可能エネルギーへの転換が遅れるというものだ。

この二つの批判は一理あると私は思う。それではどうしたらよいのか。答えは簡単だ。消費税率を下げればよいのだ。

例えば消費税率を5%に引き下げるだけで、実質賃金は前年比プラスになる。そうなれば消費が増えて、経済に好循環がもたらされる。

5%に下げるためには14兆円ほどの財源が必要になるが、問題はない。

すべて国債で賄って、その国債を日銀がすべて買い取ればよいのだ。

安倍晋三政権のときは、毎年80兆円を目途に日銀が国債保有を増やした。それで、国債の暴落も、為替の暴落も、インフレも起きなかった。

だから14兆円など誤差の範囲内だ。

私は消費税を全廃しても、何の問題も起きないと考えている。

コロナ期を中心に、世界では91の国と地域が消費税を減税した。

最も効率的で効果的な景気対策を海外はできて、日本ができない理由はどこにもないだろう。

森永卓郎 最後の提言』(小社刊)より