カレーは「辛味入り汁かけ飯」に…太平洋戦争時「金属製曲がり尺八」と呼ばれた楽器は?

 

野球は「始め! よし1本! だめ1つ!」

日本で人気が定着していた野球の場合は、用語をすべて日本語に変えられた。野球には正岡子規らが翻訳した「打者」「走者」「四球」「遊撃手」などの一連の和訳用語がすでに存在していたことも、この運動が特に野球で徹底される理由となった。

プレイボール=始め、ストライク=よし1本、ボール=だめ1つ…という具合である。後楽園スタヂアムも後楽園運動場に名称を変更している。

それまで慣れ親しんでいたカタカナ語だけに、強引な言い換えは混乱を極めた。

ライスカレー=辛味入り汁かけ飯、コロッケ=油揚げ肉まんじゅう、サクソフォン=金属製曲がり尺八と、とっさには出てきそうもない言い換え語も多かった。

カタカナ語の商品名には苦心の跡が見られ、タバコのゴールデンバットは『金鵄(きんし)』に、チェリーは『桜』になった。

雑誌名の変更も相次ぎ、キングは『富士』に、モダン日本は『新太陽』とまるで別の雑誌のようなタイトルへ変わってしまった。

戦時下日本のリアル』第4章「戦時下の文化・娯楽」より一部抜粋