【終戦80年】戦争の苦しさ、苦難を乗り切る知恵を収録『戦時下日本のリアル』

「戦時下日本のリアル」(小社刊)
今年は太平洋戦争終結から80年の節目にあたるが、戦争中は「決戦生活」「ぜいたくは敵だ」といった標語が町中に掲げられ、国民は尋常ではない耐久生活を強いられていた。

男手の少ない不安に加え、いつ来るか分からない空襲、道に生えている草を食べて飢えをしのぐような想像を絶する物資不足の中で、庶民たちはどのような日々を送り、また、どのように苦難を乗り越えていったのか?

その問いに答えてくれるのが、7月14日に小社から発売された『戦時下日本のリアル』(定価790円)だ。

本書は戦時下の国民生活で繰り広げられたさまざまなトピックスを網羅した終戦記念ムック。

戦時下の食生活の章では、物資不足に喘ぐ当時の国民の主食がサツマイモだったこと、政府の推奨で農家ばかりでなく、都市部の家庭の庭や学校をはじめ、日本全国のありとあらゆる場所がサツマイモ畑になった事実を報じている。

国がサツマイモを「最重要作物」として推奨した理由には、精製した工業用デンプンが飛行機燃料の原料に使われていたことも大きかったという。

配給米は1日当たり6歳~10歳が200グラム

また、戦時下で物資が配給制となっていたことはよく知られているが、1938年3月に行われた防寒用の衣料品を第1号として配給制の対象はどんどん拡大。

マッチ、砂糖、木炭、豆炭、育児用乳製品と広がりを見せ、1941年4月にはついに主食の米までが配給制となり、1日当たり1~5歳=120グラム、6歳~10歳は200グラム、11歳~60歳=330グラム、61歳以上=300グラムと定められた。

しかも、戦禍が増すと米は玄米に、さらに乾麺などの代用品となり、配給自体が滞ると国民は高価な“闇米”を手にするようになっていったのである。

さらに本書では男手の少ない日々の生活をしのぐ「婦女子たちの生活」のあれこれや「戦時下の文化・娯楽」、果ては戦争中に用いられた「トンデモ精神論」や戦争終結のために連合軍が計画していた恐ろしき「日本壊滅計画」についても掲載。「日本民族が絶滅していたかもしれない」危機についても詳しく報じている。

この夏はぜひ本書を手に取り、忘れてはならない戦争の記憶をたどっていただきたい。

戦時下日本のリアル
2025年7月14日発売
定価790円(税込)

目次
雑誌も書籍も戦争一色
連合軍が発案した日本壊滅計画
東京大空襲は「人災」だった
国民に隠された昭和東南海地震
開戦と終戦に立ち会ったアナウンサー
写真で見る戦時下日本の姿
幻の日本本土決戦計画
詐欺師も暗躍した「代用石油燃料」開発
「戦時猛獣処分」の真実
ルーズベルトは密教の「大元帥法」で殺された
戦艦「陸奥」爆沈前日に目撃された女の幽霊
太平洋戦争中に制作されたプロパガンダ・ポスター
はじめに

第1章 戦時下の食生活
大東亜建設を担う子供たちに食べさせたい神国日本の料理
日本全国のあらゆる場所がサツマイモ畑になった!
「戦争を優先して残りを国民に均等に」机上の空論で非現実的だった配給制
配給制前夜の節米運動
タンパク源はイカ頼み
ぜいたくは敵! 貴重な肉を繰り返し使う涙ぐましい努力
“ゲテモノ食材”奨励
調味料に工夫を凝らす
戦後も悲惨な食糧事情
戦中、戦後の米不足と密造酒の横行が悪酔い上等の「三増酒」を生み出した!
花嫁修業に見る戦後の食文化 次世代に伝えたい伝統料理

第2章 婦女子たちの生活
女性の戦争は寝不足との戦い 自由を奪われた戦時下の生活
武運長久を祈る千人針
女性も武器を持って訓練へ! 国家総動員法下の過酷な日常
女性が勤労奉仕に従事
妻や母という立場を超えて、国のために尽くした従軍看護婦の鮮烈な生きざま
“お国のために身を捧げる”奨励された傷痍軍人との結婚

第3章 トンデモ精神論
終わりなき悲惨な持久戦―ペリリュー島守備隊の死闘
緊急時も“従業すべし”
驚くばかりの防空美談
「史上最も愚劣な作戦」を立案 補給線を軽視した牟田口中将
国が違えば標語も違う
大本営発表を鵜呑みにして戦争を長期化させた報道機関
軍需工場の労働環境
精神論の象徴たる竹槍
学問的には傍流となったが…「陸軍悪玉論」のルーツを探る

第4章 戦時下の文化・娯楽
敵性言語を使ってはならない カレーは「辛味入り汁かけ飯」
流行歌は戦場の応援歌
戦時下の野球と相撲
滅私奉公の「国民服」
人気作家が戦地で密着取材! 従軍ペン部隊が見た日中戦争
開戦から終戦の玉音放送まで 国民の情報源はラジオだった
戦時広告で国民を鼓舞
人気芸人たちの慰問団
“空の軍神”加藤建夫少将と映画にもなった加藤隼戦闘隊

第5章 子供たちの生活
戦時中の軍国少年たち
習字で愛国心を養う
疎開先の不安な暮らし
戦災で家族を亡くした孤児たちは、知恵と体力を駆使して必死に生きた!
軍国少年たちの創意工夫―玩具は買わずに自分で作る!

第6章 学生たちの生活
戦時下の学校で徹底された従順な兵士を育成する教育
厳格すぎる「学校儀式」
燃え上がる「受験戦争」
軍の規律と本心の間で葛藤を強いられ過酷な運命をたどった少年兵たちの戦争
流行り文句は「人生25年」戦場に駆り出された学生たち
愛国心が試される出題
修学旅行で聖地参拝!
海外移住のガイドブックも! 戦時中の国際的な「就活戦線」

第7章 軍人たちの生活
身長155センチ以上で健康なら「甲種合格」で即時入営!
自傷と詐病は見抜けるのか!? 軍医と懲役忌避者の攻防戦
日中戦争や太平洋戦争の戦没者6割が餓死もしくは病死で無惨な最期を遂げた
人命度外視の特攻兵器
性の乱れは軍規の乱れ
暗号をめぐる日米対決

参考文献