悪徳結婚相談所Xの実態 入会者が後を絶たないカラクリを元従業員が暴露

成婚者の写真&感謝の文面もダミー

「会員さんにしてみれば『断られたのは自分のせい』なわけですから『今回はたまたま縁がなかったんですよ』と寿子さんに言われれば『そっか』ということになり、また別の人を探そうとするじゃないですか?
でも、次の人もサクラである場合が多いので何回繰り返してもうまく行くはずがないんですよ。とどのつまりが、何十万円という紹介料だけ取られて終わりです」

その結果「これだけ金を使ってもダメなんだから諦めよう」という人と、「ここまで金をつぎ込んだんだから、何が何でも結婚するぞ」と意地になる人に分かれるそうだが、当然『X』の運営に疑問を持つ人も出てくるため、とりあえずお見合いを成立させ、交際まで発展させることもあるという。

「お付き合いを始めた後に相手からノーと言われれば、さすがに本人も納得せざるを得ないですからね。
サクラ会員があえて相手に嫌われるような言動を取ることもありますし、誘惑する素振りを見せておきながら、相手がその気になって手を出してくると『性加害をされた』と騒ぐパターンもあります」

ここまでデタラメなことをやっていながら、入会者が後を絶たないのは「ダミー成婚者」がいるからだという。

「『X』の事務所には成婚者ファイルというものがあって、成婚したカップルが結婚までの経緯や寿子さんへの感謝の気持ちを綴ったり、幸せそうな写真を載せたりしてるんですけど、これもダミーです。
相談所とも寿子さんともまったく無関係なのに、あたかも『Xで世話になったお陰で結婚できた』という風に仕上げてるんですよ」

ダミーをオトリに使ったPRは常套手段とはいえ、地方の仲人業者までが悪用しているとは婚活業界の闇と現実を見せらたような感じだ

「寿子さんも趣味で仲人をやっていた頃は善良な人だったんですけど、やっぱり仕事にしてお金が絡むようになるとダメですね」

これも世の常なのだろうか。

取材・文/清水芽々

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清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。