ショーン・ペン×タイ・シェリダン『アスファルト・シティ』が描くアメリカ医療現場のリアル

マイク・タイソンが消防署局長役で出演

最底辺社会の闇が絶望的に深いだけに、勇敢な彼らが一筋の光に見えるというのも否めません。

ベテラン緊急隊員のラットを名優ショーン・ペンが、新人緊急隊員クロスをタイ・シュリダンが演じています。

自分が注目したのは若手役の方。予想以上の現場の惨状に戸惑いながらも、感情を表に出さない無表情の演技がリアリティーを増しています。

若いのにおでこに深いシワが刻まれていて、哀愁のある顔をしているんですよ。

そして、あのマイク・タイソンも出演。武闘派だったタイソンが真面目な消防署局長役というギャップも、話題作りには一役買っているでしょうね。

実話映画ではよくありますが、エンドロールの最後に数行のメッセージが出ます。深刻な現実が凝縮されていますので、映画をご覧になった際は、見逃さないでください。

さて、自分も何度か緊急隊員の方にお世話になったことがあります。

一度は、それほど深刻な事態ではなかったからでしょう。緊急隊員の方が「今から運ぶ病院は、観月ありさの『ナースのお仕事』のロケ地ですよ」と教えてくれました。

おかげで、緊張の糸が解けた記憶があります。

アスファルト・シティ
監督:ジャン=ステファーヌ・ソヴェール
出演:ショーン・ペン、タイ・シェリダン、キャサリン・ウォーターストーン、マイケル・ピット、マイク・タイソン
配給:キノフィルムズ
6月27日(金)より、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開

「週刊実話」7月10日号より

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やくみつる

漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。