「マグロ豊漁」秋に終息の兆し 一方で不漁が続く北海道のスルメイカ豊漁に期待も

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クロマグロ漁の最盛期を迎えた新潟県佐渡市では昨年と比べ4倍、千葉県銚子市でもキハダマグロが10倍以上の豊漁という。

メバチマグロやビンチョウマグロの水揚げも同様で、スーパーではマグロが目玉商品となり、物価高の庶民の食卓に潤いを与えている。

「マグロの豊漁は、黒潮大蛇行の終息ではないかとみられています」(漁業情報センター関係者)

黒潮は日本の太平洋沿岸に沿って流れる海流で、流れの強さは世界でも有数。流速は速いところで毎秒2メートル以上、運ばれる水の量は毎秒5000万トンに達し、その流れの変化が船舶の運航や漁業、沿岸の潮位に影響を及ぼすとされる。

「黒潮は、紀伊半島~東海沖で日本列島から大きく離れて流れることがある。これを『黒潮大蛇行』と呼びます。気象庁は1965年から観測データを取り始め、これまで大蛇行は6回発生しています」(サイエンスライター)

黒潮が大蛇行を始めると、多くの場合、1年以上持続する。

今回の大蛇行は’17年8月に発生。今年4月時点で7年9カ月となり、過去最長を更新中だ。

終息すれば今度はスルメイカが豊漁に

黒潮大蛇行が発生すると、カツオやマグロ、サバ、キンメダイなどが豊富に獲れる高知県では漁業に大きな影響を及ぼす。

高知県水産試験場によると、カツオの一本釣り漁は大蛇行前の’10~’16年は年間平均712.0トンだったのが、大蛇行後の’18年~’24年は同1350.9トンと倍近く増えているうえ、カツオの定置網漁も2.0トンから31.4トンに急増している。

逆に大蛇行発生後、漁獲量が減少した魚も。高知県では年間平均でソウダガツオは約5割、キンメダイは約4割、ゴマサバは約3割に減少しているのだ。

黒潮大蛇行の終息の兆しについて、気象庁は5月9日に「大蛇行が見られない状態が3カ月以上続けば終息と判断する方針」としている。

「黒潮大蛇行が終息すれば近年、深刻な不漁が続いている北海道のスルメイカも秋には豊漁が期待されます」(漁業ジャーナリスト)

8月の最終判断に注目だ。

「週刊実話」7月10日号より

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