昼酒と手作りの味が身に染みる 立石『倉井ストアー』

店内は日用品やお弁当を売るスペースと食堂に分かれる。京成立石駅から徒歩約10分。
看板に書かれた「手造り惣菜」の文字がなんともまぶしい。外観はスーパーそのものだが「食事処」ののれんが私を中へ誘う。 

70年近く続く肉屋が母体の『倉井ストアー』は、作りたての総菜をさかなに酒を飲むことができる、古き良き食堂だ。 

棚からドリンクを選んだらカウンターに並ぶ。昼時になると近隣の勤め人がお弁当を求めて行列を作る。 

「唐揚げが人気。あとは自家製の焼き豚かな」 

言われたままにオーダーして座席に着く。厨房を見ると、店主とその奥さんらしき2人が鍋を振るっている。作りたてをいただけるようだ。 

隣客のピリ辛ホルモンがうまそうで思わず追加。奥にいた初老の男性は瓶ビールとアジフライを大事そうに食べている。 

ピリ辛ホルモン(350円)は酒がとにかく進む。ビール大瓶(590円)、缶チューハイ(290円)とともに。
もう一度、厨房を見る。昼はまさに書き入れ時で店主夫妻は休む暇もない。揚げたての唐揚げも焼き豚もうまかった。声に出して伝えたかったが、どうやら忙しそうだ。

ふと自分の親を思い出した。それはいつも家族のためにあくせく動いていた母の姿だった。

「母ちゃんのごはんおいしかった」とちゃんと伝えたことがあったかな。なぜかそんな後悔が押し寄せた昼下がりであった。
倉井ストアー
東京都葛飾区立石2-18-4
03-3691-4593
営業時間:10時~14時、17時~20時
休み:土・日・祝

「週刊実話」2025年1月2日号より
※情報は取材当時のものです 

撮影・文/キンマサタカ