30代セレブ妻の壮絶な逆転人生 父親はムショ帰り、母親はアルコール依存症

母親の入院で運命的な出会い

高校を卒業すると舞香さんは施設を出て独立するが、間もなく父親が病死したことを聞かされ、1人になってしまった母親を引き取って一緒に暮らし始めた。

「まだ40歳前だというのにぼろぼろの老婆みたいになっていた母を見捨てられなかったんですよね」

その後、舞香さんが23歳の時に母親が肝臓を壊して長期入院したのだが、その時の担当医が現在のご主人(46歳)だという。

「母一人子一人の母子家庭だったし、私の身体の傷痕にも気が付いていた主人は私の身の上話を聞いてすごく親身になってくれたんです。母が亡くなったときもすごく支えてくれました」

立場の違いや年齢差もあって当初は「恋愛の対象として見ていなかった」という舞香さんは、母親の一周忌が終わって彼からプロポーズされると快諾したという。

「ずっと同情で一緒にいてくれているとばかり思ったので驚きました。彼ほど信頼できる人はいないと思っていたし、一目惚れだったと言われて、運命を感じたんです」

今年で結婚10周年。結婚後に独立して開業医として成功しているご主人とは新婚当時と変わらずにラブラブだという。

「最初は結婚に反対していた主人の両親とも今では仲良くしています。子供にも恵まれました。これまでの人生、前半は辛かったですけど今は恵まれすぎてお釣りが来るくらいだと思っています」

現在、舞香さんは養護施設の支援や児童虐待防止の啓蒙活動などを行っている。

取材・文/清水芽々

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清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。