抹茶バブルで煎茶ショック! コメの次に茶の間を襲う“緑のインフレ”

AIで生成したイメージ
空前の“抹茶ブーム”で、宇治茶の一大生産地の京都府宇治市周辺で約800年にわたり生産されてきた宇治抹茶の品薄状態が昨秋から続いており、その煽りで庶民が愛飲している煎茶の値上がりが懸念されている。

宇治茶とは、京都府宇治市を中心とした周辺地域で栽培され、京都府内の業者が仕上げて加工したもの。

鎌倉時代に禅僧・栄西が中国から持ち帰った茶種が宇治に植えられたのが始まりといわれている。

「抹茶の原料になる『碾茶』には通常の緑茶の約2倍のテニアンが含まれている。
テニアンにはリラックス、集中力向上、睡眠改善、ストレス軽減の効果がある。
近年の日本食ブームと健康志向の高まりで、海外で抹茶ブームが起こったんです」(商社勤務男性)

海外の抹茶ブームで“粉末状の茶”の輸出量はこの10年で約2.5倍増。茶の輸出額の7割超を抹茶など粉末状の茶が占めている。

アジア各国では定価の3倍で売られることも

「昨年11月ごろから京都市内のデパートや小売店で訪日外国人客による爆買いが急増している。
お茶屋さんは茶道関係者ら固定客への販売を確保する必要もあり、一部の小売店では昨秋から販売を見合わせています。
京都市内のデパートに入る店舗では購入制限を設ける店も。それでも品薄状態が続いているんです」(在阪フードライター)一方、アジア各国では、宇治抹茶を高額で転売するケースが多数確認され、中国では宇治茶関連の商標が無断で登録されるなどの問題も発生している。

「タイのショッピングサイトでは定価40グラム約1500円の商品が3倍近い約4400円、べトナムやシンガポールでも約2倍の価格で売られています。中国産の模倣品も出回っています」(消費生活ライター)

このブームにより抹茶の生産を増やしたことで、反対に減産傾向にあるのが煎茶だ。供給量が減り煎茶の価格が前年に比べ約20%アップしているのだ。

「煎茶の値上がりはペットボトルのお茶にも影響が出ます。夏に向かってペットボトル飲料の需要が拡大する中、深刻な問題です」(同)

コメの次はお茶だ。

「週刊実話」6月26日・7月3日号より

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