全国市区町村の交通空白地域は4割に 免許返納後に求められる交通システムの構築と普及

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過疎化による鉄道やバス路線の廃止で住民の移動が困難になっている“交通空白地域”の実態について、国土交通省が全国自治体を対象に初めて調査を行った。

その結果、710余りの市区町村で合わせて約2050地区の交通空白地域があり、全国の市区町村の4割を占めていることが明らかになった。

公共交通空白地域は、具体的には駅やバス停が一定の距離の範囲内にない地域を指す。

国交省の『地域公共交通確保維持改善事業費補助金交付要綱』では、半径1km以内にバス停や鉄道駅、海港および空港が存在しない集落とされる。

また、国交省の『地域公共交通づくりハンドブック』では交通機関が充実している都市は駅から半径500メートル以上、バス停から半径300メートル以上となっている。

「地方では駅から半径1000メートル以上、バス停から半径500メートル以上が“空白地域”とされるように、資料によって定義はまちまちです」(自治体関係者)

高齢者社会が進み、免許返納者は増えるが…

国交省は鉄道やバスを利用できない交通空白地域の解消に向け、企業や法人などが主導して地域交通網の再編計画を作れるように新制度を導入。

自治体が計画を作る現在のルールを緩和し、過疎地の自治体などで予算や人材が不足して対応が遅れている現状の打開を目指している。「交通空白地域対策として一般ドライバーが有償で客を運ぶ『日本版ライドシェア』がありますが、国交省調査の2050地区のうち650余りの地区がライドシェアや乗り合いタクシーの導入などの対策に着手していない。
今後、510余りの市区町村の約1600地区が交通空白地域になる恐れがある。高齢者社会が進むにつれ、運転免許証の返納者は増えることが想定されます。
交通空白地域に住む高齢者や障害者、運転免許証を持たない人の移動手段として、ライドシェアのほか、路線バスとタクシーの中間的なデマンド型交通システムの構築、普及も急務です」(交通ジャーナリスト)

“陸の孤島”化を進ませないためにも、国には財政、対策双方の支援強化が求められている。

「週刊実話」6月26日・7月3日号より

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