石破政権の求心力が液状化 「前門のコメ、後門のトランプ関税」参院選を前に公明党も見放す事態

ホットラインで「内閣不信任案」封じ

対米交渉を巡っても先行きが暗くなる情報が届いた。

政府関係者によると、5月中旬、ワシントンの外交ルートでトランプ政権中枢の政策担当者に「参院選で自民党が政権を失えば、安全保障法制を違憲と位置付ける左派政権が誕生しかねない」との懸念を伝えたが、「脅しにならない」と一蹴されたという。

政策、政権運営の双方で手詰まり感が強まっていた同時期、首相が密かに携帯電話で話したのは立憲民主党の野田佳彦代表だった。

自民党の国対関係者によると、6月22日に会期末を迎える通常国会の終盤が迫り、立憲民主党が内閣不信任決議案を提出すると可決される可能性が高まってきたことから、政治空白を生まないための協力を求めたという。

「要するに『不信任案を出さないでほしい』ということだ。可決されれば、首相は衆院を解散し、総選挙に踏み切らざるを得ない。野田氏は理解してくれるのではないか」(国対関係者)

野田氏は、終盤国会の最重要法案となる年金制度改革法案について、立憲民主党が求める修正協議に応じなければ不信任案を出さざるを得ないと首相に説明。

首相は「党首討論で聞いてほしい」と応じたという。

実際、5月21日に行われた党首討論で、野田氏は修正協議に応じるよう要求。

首相は「第1党と第2党の責任で結論を得る努力をしていきたい」と踏み込んだ。

先の国対関係者は「首相と野田氏の信頼関係は切れていない。参院選後の大連立はあり得る」と話す。

首相が新たな政権の枠組みで立憲民主党も選択肢に入れているのは、野田氏との関係を踏まえてのこと。

とはいえ、苦境に陥った石破首相に野田氏が本当に手を差し伸べるのかは見通せない。

国会会期末を乗り切っても、参院選で惨敗して退陣に追い込まれれば、すべては絵に描いた餅で終わるからだ。

進次郎効果で支持率は多少上向いたものの、石破政権は「無策批判」を前に、結局は国難の“大波”に飲み込まれるのか、それとも打開の糸口を見つけるのか。

参院選までの残り約2カ月で結果は明らかとなる。

「週刊実話」6月12日号より