自民党・二階俊博幹事長の「1億5000万円に関与していない」発言が党内外に波紋を広げている。
政界では「二階発言は、菅首相派の二階幹事長VS安倍前首相派の岸田文雄前政調会長の対立」ともっぱらだ。
「そもそも1億5000万円は、選挙違反で失職した河井案里前参院議員の陣営(広島選挙区)に提供した党資金。案里氏辞任の再選挙で岸田派が推した候補は敗れたが、広島は岸田派の牙城だけに、敗北は岸田氏の総裁選出馬に影響を及ぼす。それを打ち消すため、再選挙敗北の原因が案里陣営の買収工作選挙資金にあるとし、その説明を二階氏に求めた。関与を否定した二階発言はその返答です」(全国紙政治部記者)
自民党の金庫から出た選挙資金の1億5000万円は、菅(当時・官房長官)-二階ラインの関与が取り沙汰されているわけだが、二階氏VS岸田氏の攻防は〝ポスト菅〟を巡る暗闘に直結するという。
「二階おろし」と「安倍首相待望論」
「安倍前首相の動きも気になります。今や安倍氏は体調も万全で経済、原発関連議連に参加するほか、各所で講演会もこなしている。議員会館の安倍事務所には、国会議員や民間の重鎮が日々列をなす状態です。菅政権はコロナ迷走で支持率が急落し、またぞろ『安倍首相待望論』が高まる有り様で、岸田氏が〝1億5000万円の経緯を説明しろ〟と迫った背景には、菅首相を支える『二階おろし』が見え隠れする」(同・記者)
一方、二階幹事長も反転攻勢に抜かりはない。安倍-岸田ラインの肚を見透かしてか、安倍前首相のアキレス腱である森友学園問題でけん制しているという。
「国有地格安払い下げ疑惑の森友学園問題で、財務省の公文書改ざん経緯を記した『赤木ファイル』の存在ですよ。これまで国は、自殺した赤木俊夫さんが残したファイルの存在を明らかにしてこなかったが、5月6日に初めて認めた。これは森友問題や安倍事務所の『桜を見る会前夜祭パーティー』疑惑などを〝すべてバラすぞ〟という、二階幹事長側のシグナルです」(政界消息筋)
権力闘争が激化しそうだ。
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