阪神90周年Vへ邁進 好調の要因は2020年コロナ禍“神ドラフト”

佐藤輝明(本人のインスタグラムより)
セ・パ交流戦が6月3日に開幕する。パ・リーグに苦手意識を持つセ・リーグ各球団は「交流戦が始まる前に貯金を作り、交流戦は勝率5割で」と考えている。

そんな序盤戦のセ・リーグで頭一つ抜け出してきたのが、阪神と広島だ。

「主力選手からケガ人を出していないのは阪神だけ。それもキャンプからその状態が続いており、常にベストメンバーを組んで戦ってきました」(在阪記者)

藤川球児監督の采配は独特だ。

中でもブルペン管理が特徴的で、ほとんどの球団が「3連投まで」と具体的な数値を出しているが、藤川監督はその手の発言はせず、特定のリリーバーを酷使している形跡もない。

「各投手の体調や調子を見て」と臨機応変にやり繰りをしているのだろう。

投手陣の好調さも勝因だが、それ以上にセのライバル球団を脅かしているのが打線。

首位攻防戦となった5月18日の広島戦を終えた時点で、打率争いのリーグ2位は中野拓夢。盗塁のリーグトップは近本光司。本塁打、打点のリーグトップが佐藤輝明だ。

「13日のDeNA戦で、高寺望夢が土壇場の9回2死からプロ1号となる同点アーチを放ちました。ビジターゲームで追いついて引き分けに持ち込んだので、これは勝ちに等しい試合でした」(同)

高卒5年目の高寺が価値ある一発。ここで、もう一つの「勝因」が見つかった。

部活禁止下で虎スカウトの眼力が発動

1位・佐藤、2位・伊藤将司、5位・村上頌樹、6位・中野、7位・高寺、8位・石井大智。今季のチームを支えている選手には、2020年のドラフト組が多いということだ。

同年のドラフトといえば、新型コロナウイルスの影響で、学生・アマチュア野球界も活動が自粛され、プロ野球スカウトたちもその調査に苦しんでいた。

特に高校生、大学生たちは部活動そのものが活動禁止となり、練習もままならなかったほどだ。

そういう状況下で4番(佐藤)と開幕投手(村上)、セットアッパー(石井)を見つけてきたのだから、虎スカウトたちの眼力を素直に認めるしかない。

「村上は球速値が高くないので、他球団の評価はイマイチでした。球速よりもボールの回転数に着目した阪神スカウトの勝利と言っていいでしょう」(関係者)

佐藤らの勢いが止まったとき、藤川監督はどんな采配を見せるのか、それが90周年Vの明暗を分けそうだ。

「週刊実話」6月5日号より

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