大の里の大活躍で大相撲ブームも…手渡し懸賞金が3万円から1万円になったワケ

両国国技館 (C)週刊実話Web
東京・両国国技館で行われている大相撲夏場所も終盤戦。大関大の里が5月21日時点で無傷の11連勝しており、史上最速の綱取りなるか、熱気は高まる一方だ。

そんな土俵を彩る風物詩の一つが幕内の取組に掛かる色とりどりの懸賞だが、その懸賞に異変が起こっている。

これまで1本3万円だった力士たちの手取り分が今場所から1万円ジャストに減額されたのだ。といっても、懐に入ってくる金額は最終的に同じ…。

「懸賞は、協会手数料を差し引いた6万円が力士の取り分で、これまではそのうちの3万円を土俵上で渡し、残りの3万円はいったん協会が預かり、税金などを差し引いて力士たちの口座に振り込んでいたんです。
その手渡し分を今場所から1万円にし、協会預かり分を5万円に増やしたんです」(大相撲担当記者)

“1万円”対策は急増する懸賞の本数と無縁ではない。大相撲人気を反映し、今場所も申込数は2916本と天井知らずだ。

「初日の結びの一番、豊昇龍対若隆景戦に54本も掛かり、勝った横綱の豊昇龍は分厚い懸賞の束を小脇に抱えて土俵を降りたが、『そんなにたくさんの現金を渡して事故でも起きたらどうするんだ』と心配する声があった。
また、現金をいちいち懸賞袋に詰める作業も大変。そんなこんなで手渡し分を減額することにしたんです」(協会関係者)

以前は宵越しのカネを持たない力士がズラリ

これに対する力士たちの反応はさまざま。先場所途中休場するなど切羽詰まっている豊昇龍は「そこを意識している場合じゃない」。

西前頭4枚目の一山本は「もらえる金額が一緒ならどっちでもいいですよ」。

ただ、「これで力士気質が変化するのでは」と危惧する老好角家もいる。

「懸賞は臨時収入。宵越しのカネは持たねぇとばかりに、昔は豪快に使いまくる力士が多かった。
無敵だった千代の富士は入ってくる分も多く『そんなに無駄遣いするんなら親孝行しろ』と師匠の北の富士さんに言われ、実家を新築したエピソードも残っています。確かに、1本1万円じゃ“この物価高の中、豪快に”とはいかなくなりますね」

力士がケチ臭くなってしまってはつまらない。

「週刊実話」6月5日号より

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