「川崎ストーカー死体遺棄事件」事情聴取7回で逮捕できなかった神奈川県警の不手際

AIで生成したイメージ
神奈川県川崎市の住宅で岡崎彩咲陽さんの遺体が見つかった事件で、この家の住人で元交際相手の白井秀征容疑者が死体遺棄容疑で逮捕されたのは5月3日のこと。

遺体発見は4月30日。神奈川県警がストーカー規制法違反容疑で白井容疑者宅を捜索した際、床下の収納スペースにあったボストンバッグの中から一部白骨化した状態で見つかった。

昨年12月20日に岡﨑さんが避難先の祖母宅からいなくなって4カ月後だった。

捜査関係者によると、県警は岡崎さんが行方不明になってから白井容疑者を計7回聴取。最後の3月25日、容疑者は岡崎さんが失踪した当日の朝に勤務先周辺でつきまといをしたと認める説明をした。

その後、白井容疑者は4月に米国へ出国。所在が分からなくなり、県警は同月末に家宅捜査に踏み切ったが、発見された遺体は司法解剖の結果、死後1カ月以上経過していた。

家宅捜索や遺体の発見を知った白井容疑者の親族の説得を受け、同容疑者は5月3日に滞在していた米国から帰国し、逮捕された。

新しい仕組みが必要なら早く作ることに全力を注ぐ

白井容疑者は警察の取り調べに、当初「間違いありません」と容疑を認めていたが、その後は黙秘を続けているという。

岡崎さんは去年6月から白井容疑者のストーカー行為に悩まされており、失踪前の昨年12月9〜20日だけでも計9回にわたり警察に相談。

それでもストーカー行為はやまず、岡崎さんは自宅を離れ、祖母宅に身を寄せていたが、そこにも度々白井容疑者とみられる男がやって来たという。

昨年12月の段階で、警察は容疑者からストーカー行為を認める供述を得たにもかかわらず強制捜査に踏み切らなかったことで人命が失われた可能性が高い。

神奈川県の黒岩祐治知事は5月13日の会見で、被害者本人や県警から、相談は「なかった」と明らかにした。

同様の事件が起きないように、相談窓口の周知や県警との連携の強化、当事者らと意見交換する緊急のシンポジウムを開催すると発表。

「最悪の結果を招いてしまったことについて、われわれは非常に重く受け止めながら、新しい仕組みが必要ならその仕組みを早く作っていくことに全力を注ぐ」とコメントした。

5月15日、坂井学国家公安委員長は記者会見で、「神奈川県警の一連の対応に寄せられている批判を真摯に受け止め、しっかりと検証を行うことが大変重要」とのコメントを発表している。

「週刊実話」5月29日号より

【関連】「豊田商事会長刺殺事件」から40年 水野一男が貫いた“所有する弱者から奪え”という犯罪哲学 ほか