自動車整備事業者の市場撤退が加速 トランプ関税のダブルパンチで国内自動車業界が大ピンチ

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トランプ関税で、日本の自動車業界が矢面に立たされている。その行く末に関しては、誰も先行きが読めないのが現状だ。

ここ数年、好調な業績が続いていた自動車業界だったが、コロナ禍に始まった半導体不足による生産台数減など、足下では構造的な綻びが広がり、ホンダ・日産の経営統合破談あたりから、業績などにも影響が出始めた。

長期的な経営戦略が立てられないのはトランプ関税だけが原因ではない。

加えて、日本の自動車業界の構造的な大きな問題として指摘されているのが、自動車整備を担う事業者の市場撤退が加速していること。

帝国データバンクが発表した2024年度の「自動車整備」事業者の休廃業・解散は382件と過去最多となり、倒産(負債1000万円以上、法的整理)に至った63件を含めると、同じく過去最多の445件が自動車整備の現場から消滅した格好だ。

業界大手が危機打開にスクラム

自動車整備業界は近年、パーツ仕入価格や人件費の高騰、少子高齢化によるユーザー減少など、厳しい経営環境に直面する事例が増加しており、特に整備士志望者減少による人手不足が深刻といわれている。

最近は、大手自動車メーカーが整備士教育で連携を始めたほか、全国の自動車車体整備事業者で構成される日車協連と大手損保の東京海上日動火災保険が整備代金の単価引き上げに合意するなど、整備事業者の経営環境改善に向けた取り組みも加速している。

しかし厳しい環境下に昨今のトランプ関税の不確定要素が加わり、自動車整備業界の苦境は予断を許さない。

日々、自動車を安心して乗れるのは、安定した整備環境があってのこと。厳しさを増す自動車整備業界に、トランプ関税が水を差さないことを願うばかりだ。

「週刊実話」5月29日号より

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