蝶野正洋が内藤哲也の退団に本音ぶっちゃけ「社長はタナだから、不満は理解してそうだけど…」

蝶野正洋 (C)週刊実話Web
飛び石連休だった今年のゴールデンウイーク、プロレス業界では各団体がビッグマッチを開催した。

俺もプロレスリング・ノアの両国国技館大会に呼ばれて、武藤(敬司)さんと一緒に解説を務めさせてもらったよ。

この日のメインは、GHCヘビー級王座のタイトルマッチ。

ノアに再入団したKENTA選手が、“ダークヒーロー”OZAWA選手の持つベルトに挑んだ。

OZAWA選手は今年の元旦にベルトを奪取してから防衛を続けており、傍若無人なキャラクターも相まって人気が急上昇している注目の選手。

俺は今回初めてOZAWA選手の試合を見たんだけど、いいセンスしていると思ったよ。

デビューから3年も経っていないのに、堂々と両国のメインを張って、試合運びも落ち着いていた。

俺の3年目なんて海外武者修行に出たくらいだったから、その早熟ぶりは目を見張るね。

OZAWA選手は身体能力が高いし、インサイドワークというか、試合の流れや会場の空気を読むのも抜群にうまい。

KENTA選手も駆け引き上手なほうだが、試合ではそれを上回ったOZAWA選手が勝利し、タイトル防衛となった。

試合後、解説席にOZAWA選手がやって来て、俺の前で手を差し出してきた。少し考えたけど、いい試合だったから、俺は握手で応えた。

するとOZAWA選手が所属している「TEAM2000X」のメンバーが俺を取り囲んで記念写真まで撮り始めて、まるで俺がヒール軍団の総帥みたいになってしまった。

俺はかつて「TEAM2000」というユニットを率いてたけど、TEAM2000Xには触ってない。

武藤さんに「お前が後ろで糸引いてんだろ?」と言われたけど、本当に関係ないんだよ。

これは、またノアにやられたなって思ったね。

武藤さんの引退試合のとき、「解説だけしてくれ」と頼まれて放送席に座ったのに、最後は試合をすることになった。

今回は「リングに上がって挨拶してほしい」と頼まれたんだけど、それはちゃんと契約してないから無理だと断っていたんだが、結局こうなってしまった。

これがノアの武田有弘取締役のやり口なんだよ(笑)。

ただ、これからOZAWA選手の人気が大爆発して、TEAM2000Xのグッズが売れまくったら、改めてコンサルタント料でも請求してやろうと思ってるよ。

内藤哲也選手が退団

一方、新日本プロレスでは、契約満了で退団することになった内藤哲也選手のラストマッチが5月4日に行われた。

内藤選手は1月末の契約更改からサインを保留していて、この数カ月は実質フリーの立場で参戦していたらしい。

退団理由は金銭的な問題ではないと言うが、待遇面で納得できない部分はあったと思う。

新日本は『ワールドプロレスリング』(テレビ朝日系)だけでなく、BS朝日、CSテレ朝チャンネルでもオリジナルの番組がある。

さらに自前の配信サイト、ABEMA、YouTubeなどにもコンテンツがあり、選手はそれも含めたワンパックで年俸契約してるから、人気選手ほど忙しいのに儲からないんだよ。

新日本の今の社長はタナ(棚橋弘至)だから、選手サイドの不満は理解してそうなんだけど、なかなか体制を変えられないようだね。

プロレス業界は権利関係や、選手に対する収益の分配システムが立ち遅れているから、今後もこういう問題が表面化すると思うよ。

「週刊実話」5月29日号より

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蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)

1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。