北朝鮮軍のウクライナ本土投入に現実味 死傷者はすでに5000人超

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3月11日から20日にかけて、北朝鮮が恐れる米韓合同軍事演習「フリーダムシールド(自由の盾)」中に、ロシア軍機が韓国の防空識別圏に8回も侵入し、2024年6月に朝ロ間で合意した「包括的戦略的パートナーシップ条約」履行の仁義を切った。

米韓軍事演習終了後の3月21日には、ロシア国家安全保障会議のセルゲイ・ショイグ書記が北朝鮮を訪問した。

ショイグ氏訪朝の目的は、以下の4つとみられる。

(1)南北で紛争が生じた場合の北朝鮮支援の約束を再確認
(2)北朝鮮の派兵に対する謝辞
(3)包括的戦略的パートナーシップ条約の重要性を再確認
(4)金正恩総書記をロシアに招待する

「正恩氏はロシアに対して3つの不満を持っており、これをショイグ氏にぶつけたようです。
まず派遣部隊に対するロシアからの補償の遅れ、次にトランプ政権との交渉に関するロシア側からの情報不足。そして、ウクライナに拘束された2人の北朝鮮兵は、ウクライナとロシアとの間で定期的に行われている捕虜交換交渉に組み込まれておらず、韓国に亡命する可能性があることへのロシア側の配慮不足を指摘したようです」(外交関係者)

“本土決戦”なら死屍累々

正恩氏が強気の姿勢に出たのも、北朝鮮軍のウクライナ本土への投入が現実味を帯びてきたからだ。

4月16日、ウクライナ国家安全保障国防会議傘下組織のアンドリー・コバレンコ氏は、テレグラムで「ロシアは北朝鮮軍をウクライナ本土での戦闘に投入する計画だ」と発信。

また、北朝鮮軍の進軍について英紙タイムズは「北朝鮮が自国軍をウクライナ本土に進入させる場合、その目的はロシアによる核開発プログラムの支援を引き出すことにあるのではないか」と分析している。

4月25日、ウクライナの首都キーウで12人が死亡したロシアによるミサイル攻撃。ウクライナ当局は「北朝鮮製の弾道ミサイルが使用された」と指摘した。

これまでウクライナ戦争で派遣された北朝鮮兵の死傷者は推定5000人超。“本土決戦”による犠牲者はまだまだ増えそうだ。

「週刊実話」5月22日号より