BE:FIRST・RYOKIが市民裁判で“クロ”に 交際トラブル報道でSNS世論の矛先がNHKに飛び火

RYOKIのインスタグラムより
近年、芸能人やインフルエンサーを巡るスキャンダルにおいて、正式な刑事・民事手続きが行われる前に、ソーシャルメディアや報道によって「有罪認定」されるケースが増加している。 

とりわけBE:FIRSTのRYOKI(三山凌輝)をめぐる“巨額結婚詐欺”騒動は、その典型例だと言えるだろう。 

RYOKIは、元交際相手でYouTuberのRちゃんから、2年間で計1億円もの金銭的支援を受けていたことが週刊文春の報道で発覚した。 

高級車や腕時計、月200万円のお小遣い、さらにはプロポーズや家族旅行など、私的な関係を利用した搾取が疑われており、「結婚詐欺」として世論の強い非難を集めている。 

騒動を受けてグループのプロデューサーであるSKY-HI(日高光啓)はXを更新。 

「落ち度は充分にある」「各種講座の受講や指導等があればなにがどう変わったのかは結果論なので断言は出来かねますが」「個人間の交際中の出来事に対して公の場でやったやってないの水掛け論をすべきではない」といった説明に終始した。 

特にソーシャルディアで問題視されているのが、NHKの対応である。 

NHKはBE:FIRSTの楽曲『空』を、全国学校音楽コンクールの課題曲として使用するだけでなく、報道後にも子ども向け番組『ウェルカム!よきまるハウス』に彼を出演させている。 

これに対して視聴者からは「なぜ教育的観点が問われる番組に、問題行動を起こしたタレントを起用するのか」「事実上の税金で運営される公共放送のNHKには、他局よりも高い倫理感が求められる」という批判が噴出している。 

このような中、SNSでは“市民裁判”が展開され、RYOKIはすでに「クロ」と断定された状態で、広く批判や誹謗中傷の対象となっている。 

だが、こうした一方的な断罪には、ソーシャルメディア特有の「速断性」と「感情過多」の危険が伴う。 

「炎上」は“処罰”の役割を果たすのか?

まず第一に、SNSによる情報拡散のスピードは、事実確認や法的判断のプロセスを大きく飛び越えてしまう。

週刊誌が一報を報じると、Xではインプレッション稼ぎのため、情報を即座に切り貼りし、コメント欄には「詐欺師」「犯罪者」などの言葉が並ぶ。

この段階で真偽を吟味する冷静さは失われており、「炎上」が“処罰”の役割を果たしてしまっている。

第二に、メディアが“SNS世論”に迎合しすぎる傾向も見逃せない。

メディアは、炎上後のアクセス数や視聴率を優先し、「世論の正義」に乗る形で報道を続ける。しかしこの構図は、冷静なファクトチェックや多面的な取材よりも、センセーショナルな印象操作を助長するリスクが高い。中立的な立場で見ると、NHKは「なぜ起用を継続するのか」について明確な説明をする責任があったようにも思える。

結局のところ、SNSの市民裁判的な炎上と、マスメディアの鈍い対応、そして関係各所の説明責任の欠如が相まって、不信と混乱を招いているのである。

真に必要なのは、タレント本人や事務所が事実を明確に説明し、視聴者・ファン・被害者への誠実な対応を取ること。

そしてメディアは、世論に迎合するのではなく、事実を正確に報じ、感情ではなく倫理と法に基づいた視点で判断を促すべきだ。

SNSの正義が暴走し、メディアがそれに踊らされる現代社会において「情報をどう読むか」「誰が発信しているか」を冷静に見極めなければならない。それが本来守られるべき人権と正義を両立させる唯一の道である。

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