20代の出稼ぎ女性を男たちが“共有” 北関東に残る悍ましい因習「あそこは異常な集落だった」

「心だけじゃなく身体も傷つけられました」

A子さんの周りには同じような境遇の女性が何人も存在しており、全員が集落の男たちの間で「共有」されていたという。

「もちろん、皆嫌がっていましたけど、本国への仕送りのために我慢していました。私のダンナさんは普通でしたが、アブノーマルなことを要求する男の相手をさせられることもあって、心だけじゃなく身体も傷つけられました。2年とか3年とかの契約が切れると本国に帰れるので、それまでは我慢しようと皆で励まし合いました」

A子さんも契約が切れて自由の身となったがまだ稼ぎ足りず、日本に留まって現在は都内の飲食店で働いているという。

「お店のお客さんにこの話をするとびっくりされます。やっぱりあそこは異常な集落だったんだと分かりました」

「女性に対する性加害」が社会問題化されている現代の話なのだから驚くのも無理はない。

現在はお店の常連だった男性と交際中で、結婚の話も出ているというA子さん。

「正式に結婚が決まったら、本国にいる子供たちを呼び寄せて一緒に暮らす予定です」

忌まわしい過去など忘れて、ぜひとも幸せになってもらいたい。

取材・文/清水芽々

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清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。