「安かろう、良かろう」の“OTC類似薬”に落とし穴? 日本医師会の利権支配で患者置き去りの未来

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「熱、のど、鼻に、ルルが効く♪」(第一三共ヘルスケア)、「効いたよね、早めのパブロン♪」(大正製薬)――医師の処方箋がなくてもドラッグストアなどで購入できる市販薬の「OTC医薬品」は、CMでよく耳にするキャッチコピーでお馴染みだ。

そもそもOTCとは「Over The Counter」の略語で、カウンターを挟んで薬剤師などから購入することから、そう呼ばれている。全額自己負担だ。

これに対し、成分や効果は「OTC医薬品」とほぼ同じだが、医師の処方箋が必要な医薬品を“OTC類似薬”と呼ぶ。

こちらは保険適用のため、1~3割の自己負担。つまりは「安かろう、良かろう」というのが“OTC類似薬”。高齢化の進展で医療費が膨張する中、「“OTC類似薬”を保険適用の対象から除外すべきだ」との声が強まっている。

「政府が医療費を減らすため、患者の自己負担を一定額に抑える高額療養費制度を見直し、自己負担の上限額を引き上げようとした際、がん患者らは猛反対し、引き上げは凍結されました。
その際、『医療費削減なら“OTC類似薬”の保険適用除外が先』の議論が出た。しかし、政府・自民党に除外する気はありません。集票マシンである日本医師会が反対しているからです」(全国紙厚生労働省担当記者)

本音は「儲けが減る」から?

なぜ、医師会は反対しているのか。

表向きの理由は、“OTC類似薬”の保険適用除外を進めると、患者は自分の判断で薬を購入するため、適切な治療を受けずに重篤化する可能性が高まる、という理屈だが、本音は別のところにあるという。

「日本医師会執行部は開業医でほぼ占められている。安く買うために町医者に行く人は多い。全額自己負担なら、患者がクリニックや診療所に来なくなり儲けが減ります」(同)

高額療養費制度の見直しを巡って、医師会がさほど声高に反対を訴えていなかったのは、執行部に大病院の勤務医がほとんどいないことと無関係ではない。

“OTC類似薬”の保険適用除外にことさら反対する医師会。「ご都合主義」と言われてもやむを得まい。

「週刊実話」5月8・15日号より

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