「ゼロゼロ融資」が暴いた不正――因果応報なコンプラ違反で企業倒産、352件で過去最多に

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今年度に入ってからもワイドショーやニュースは、フジテレビ関連に加え広末涼子の逮捕、ホンダの副社長辞任など、コンプライアンス違反に端を発した話題で彩られている。

かつて「それぐらいのことは大目に見てあげなよ…」で済んできたことが、済まないどころか大問題になる風潮が、ますます加速しているのだ。

そして、このコンプライアンスについては、今や企業の存続にも大きく関わる要因となっている。

帝国データバンクが先日発表した「コンプライアンス違反企業の倒産動向調査」によると、2024年度の「コンプライアンス違反倒産」は379件となり、23年度の352件を27件(7.7%増)上回り、過去最多を更新した。4年連続で前年度を上回り、3年連続で300件を超えた。

コンプライアンス違反の内容を見ると、「粉飾決算」が最も多いという。

コンプライアンス順守の意識の高さは企業の生命線に

その原因としては、「ゼロゼロ融資」などコロナ禍に実行された各種支援策が粉飾の発覚を遅らせ、表面化しづらい状況が続き、いざ返済開始のタイミングで発覚するケースが目立った。加えて横領や資金流出などを含む「資金使途不正」が元の倒産や、コロナ禍の雇用調整助成金など各種補助金の「不正受給」が引き金の倒産も多い。

今年2月には福岡県の結婚式場運営会社『アルカディア』の元社長らが雇用調整助成金をだまし取ったとして逮捕され、金融機関などが一斉に手を引いたこともあり、翌月に破産した。

今や、企業のコンプライアンス順守の意識の高さは、企業の生命線となっており、ちょっとした出来心では済まない時代だ。

横領や不正受給はもっての他だが、従来ではボーダーライン上にあったあらゆる事象についても「不適切にもほどがある」という感覚が、経営者には必要な時代となっているようだ。

「週刊実話」5月8・15日号より

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