JR東日本とJR西日本が、2021年春のダイヤ改正で主要在来線の「終電繰り上げ」を決定し、私鉄の一部も追随することで賛否両論が飛び交っている。
「JR東日本は東京駅から100キロ圏内のほぼ全路線で、終電時刻を30分繰り上げ、JR西日本は10~30分繰り上げる。JRと主要駅で接続している私鉄も同様で、一般利用客はもちろん〝夜の街〟の飲食店へのダメージは計り知れません」(飲食店コンサルタント)
JR東日本は終電繰り上げの理由として、コロナ禍で深夜帯の電車利用客が以前に比べて3分の1に減っていること、夜間における保線現場の働き方改革が問題になっていることなどを挙げている。
終電の繰り上げは、企業や官庁の深夜残業を減らし、生活にゆとりを持たせる効果も期待される。しかし、実際は繁忙期のビジネスマンや、日付が変わる前後まで営業している飲食店の従業員が、巻き添えを食って〝終電難民〟が続出することになるだろう。
コロナで窮地の飲食業界に「終電繰り上げ」が追い打ち
「遠方に住んでいる人は、これまで以上に早く店を出ないと終電に間に合わない。落ち着いて飲んでいられません。もう一軒なんて、とても無理。その影響をもろに受けるのは、夜が稼ぎ時の繁華街ですよ」(フードライター)
新型コロナによる時短要請や臨時休業で、1月から8月までに倒産した飲食店は過去最高の583件に上り、前年同期比13.2%増。東京都は飲食店やカラオケ店の時短要請を9月15日に解除したが、10月後半になっても客足は完全に戻っていない。
「集客はよくて7割、大半が5割以下です。年末に向けて徐々に回復し、来春には客足が戻ることを期待していたのですが、春のダイヤ改正でカラオケやスナック、バーがしわ寄せを食うことになる。コロナ禍に続く終電繰り上げは、窮地の飲食業界に追い打ちをかけることになりますよ」(飲食業界アナリスト)
JR東日本やJR西日本、それにダイヤ改正を検討している私鉄は、終電利用者や飲食業界から再考を求められそうだ。
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