NIKEのプレミアムスニーカーが300万円引き! TikTokの怪しい広告をたどってみたら…崩壊するインターネット広告の世界

有名商業施設を名乗る激安通販サイト
効果の疑わしい健康食品や美容医療、「マスコミが報じないニュースの真相」といった情報から真贋疑わしいブランド品まで、多くの広告がインターネット上を賑わせている。先日、この一種として、多方面の権利を侵害する広告をTikTok上で発見した。

20秒ほどの動画広告で、有名ブランドや著名人などとコラボしたモデルのNIKEスニーカーを宣伝している。有名ラッパーのトラヴィス・スコットをはじめ、ティファニー、ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオール、果ては人気漫画『頭文字D』とのコラボモデルまである。
実際の広告画面
しかし、そのチープなレイアウトは、公式な通販サイトだとは到底思えない。「本物保証」と表示されているが確実に空手形で、「送関無料」とおかしな日本語も確認できる。 

よほどのネットリテラシーがない者以外は、偽ブランド品販売の詐欺広告であることが一発で見抜けるだろう。 

「怪しんでください」と言わんばかりだが、リンクを飛んだ先には日本の有名ブランド買取品リサイクルショップのHPだった。しかし、こちらも偽装サイトであることは間違いない。 

後日訪れるとレディース服を販売するECサイトに

HP上ではNIKEなどのプレミアムアイテムが300万円引きといった特価で販売されていた。仮に本当に購入できるとしても、これは明らかに不当な二重価格だろう。 

その後、このサイトのさらなる怪しさが浮き彫りになる。日を置いてアクセスしたところ、こちらのサイトは海外のレディース服を販売するECサイトになっていた。 

トップに表示された20.57ドルのショート丈ロンTをクリックすると、販売ページでは21円(税込)と表示される。別のアイテムも、30.95ドルの価格表示が、販売ページでは31円(税込)。ここ数年、日本は円安に悩まされているが、1ドル=1円という超円高レートの世界だった。 

商品画像を検索するとtemuやSHEINもヒットする。
サイト下部にはメールのアイコンが表示されているが、クリックしても問い合わせフォームには飛ばない。「Contact us」の電話番号とアドレスは空欄になっており、運営者は不明だ。

メールと電話の欄はあるが何も書かれていない
詐欺広告をめぐっては昨年、Facebookに自身のなりすまし広告が出ているとして、堀江貴文氏、前澤友作氏ら実業家が自民党の会合で規制の必要性を訴えた。 

かつて“知の集積”と期待されたインターネットだが、アテンションエコノミーがふたたび力を取り戻し、読者のパイを奪い合っているだけ。今や無料コンテンツはフェイクと詐欺とスパムだらけで、ペイウォールに囲われたモノ以外に有益な情報などない。