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レッドスーパームーン後に要警戒! 首都直下&南海トラフのダブル巨大地震

レッドスーパームーン後に要警戒! 首都直下&南海トラフのダブル巨大地震
(画像)Stockbusters / shutterstock

東日本大震災のような巨大地震は、潮の満ち引きの原因となる月の引力が強く働くときに発生しやすくなる――。これは5年前、東京大学の井出哲教授らのチームが英科学誌『ネイチャージオサイエンス』電子版に発表した成果である。

武蔵野学院大学特任教授(地震学)の島村英紀氏が語る。

「月の引力によって海の水位は変化するが、同様に地面の中の圧力にも変化が生じるというのです。井出氏らの研究は示唆に富み、地面の中の変化は地震によって解放されるエネルギーと比較すると非常に小さいものの、大地震を引き起こすひと押しとなり得るという。まさにその通りです」

同研究は、過去20年間に発生したM(マグニチュード)7~9の大地震を追跡調査したもの。

「研究チームは約15日周期で変化する潮の満ち引きを起こす力が、地震の前日に震源付近でどのように働いていたかを分析した。その結果、2004年のスマトラ島沖地震や2011年の東日本大震災を含むM8.2以上の巨大地震12例のうち、9例は15日間の中で特に力が強い日だった。力が大きな日には、小さな岩石の破壊が大きな地震へと成長しやすくなるのかもしれないとしています。巨大地震にはそのような特徴が見られたものの、M5.5レベルの地震の場合、この力が強いときも弱いときも起きており、明確な関連性は見られなかったとしています」(サイエンスライター)

問題は今年である。というのも、5月26日にはスーパームーンと皆既月食が重なる『レッドスーパームーン』が出現したのだ。それにとどまらず、2週間後の6月10日には日本では見られないものの、金環日食や新月が控えており、引力の強い状態が続くのだ。

地下では着々と巨大地震の準備が進んでいる?

「世界中でスーパームーンの前後7日間、日食・月食の前後に起きていた大地震は圧倒的に多い。そのスーパームーンと皆既月食が重なるのですから、この期間は非常に注意が必要なことは言うまでもない」(同)

島村氏も同調する。

「おそらく世界中のどこかで大地震が発生するでしょう。残念なのは、この研究では大地震が発生するのはどこなのか、分からないことです。もっとも、それは無理筋の話ですが…」

1年で一番大きな月が、美しい赤銅色に染まるレッドスーパームーン。日本で皆既月食が見られるのは2018年7月以来、約3年ぶりのこと。日本中が歓喜に沸くことだろうが、地下では着々と巨大地震の準備が進んでいるとすれば、手放しで喜べない。

ここにきて本誌記者が長年住んでいる神奈川・三浦半島の一角で異変があった。何と、春だというのにツバメの姿が皆目見られないのである。毎年5月ともなれば、マンションの1階住戸の軒先に巣を作り、低空飛行してエサを獲るツバメを何羽も目撃する。しかし、今年に限ってはまだ1羽も見かけないのだ。宏観異常現象なのか。

宏観異常現象とは、大きな地震の前触れとして発生ないし知覚され得る、生物の異常行動、また地質的、物理的異常現象をひとまとめにしたものを指す。

前出の島村氏に話を向けると、

「原因は分かりませんね。『ツバメはもともと減っている』という話もあります。横浜・横須賀の異臭騒ぎも、またぶり返したようで、地震が近づいてくると、いろいろな現象が目につきやすくなるのかもしれません」

宮城県沖周辺では、今年2月M7.3震度6強、3月のM6.9震度5強に続いて、5月1日にもM6.8震度5強があったばかりである。

最悪の事態を想定して日々の行動を

「5月の地震は3月の震源よりも、やや南東で発生し、地震のメカニズムは同じ逆断層型と解析されている。プレート境界で起きた地震とみられ、1978年や1937年に起きた周期的に発生している宮城県沖地震の震源に近い。政府の地震調査研究推進本部は、今後30年以内に宮城県沖でM7.9程度のプレート間地震の発生する確率を20%程度と分析しています。M7.0~7.5のひと回り小さいプレート間地震の発生確率となると、90%程度と跳ね上がってきます」(前出・サイエンスライター)

政府の地震調査委員会は東日本大震災から10年を経過することを受けて、「東北地方太平洋沖地震の余震域や内陸を含む周辺では、今後も長期にわたり強い揺れや高い津波に見舞われる可能性があることに注意が必要」とのコメントを発表している。

また、同委員会は東日本大震災を発生させた「日本海溝」のほかに、静岡―南部九州沖を走る南海トラフや北海道東方沖の千島海溝、神奈川県沖の相模トラフでも巨大地震が発生することを指摘、改めて「大地震はいつ起きてもおかしくない」として警鐘を鳴らしている。

同時に前述した2004年に発生したスマトラ島沖の地震(M9.1)では、3カ月後にM8.6、約3年後にM8.4、約5年半後にM7.8、約7年半後と約11年後にそれぞれM8.6、M7.8という巨大地震が発生していることを示し、東北地方でも2月に宮城県沖に近い福島県沖で発生したものをさらに上回る大地震が起きる可能性があるとした。

「コロナ禍での巨大地震発生なんて考えたくありませんが、何が起こっても不思議ではないのが今の時代です。最悪の事態を想定して日々の行動を起こした方がいいと思います」(防災ジャーナリスト・渡辺実氏)

赤い満月は不吉を呼ぶ?
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