目指すは農業界の大谷翔平!?「せっかく東大に行ったのに農業でいいのか?」祖父の田んぼを継いだ米利休の目標

『東大卒、じいちゃんの田んぼを継ぐ 廃業寸前ギリギリ農家の人生を賭けた挑戦』米利休
『東大卒、じいちゃんの田んぼを継ぐ 廃業寸前ギリギリ農家の人生を賭けた挑戦』KADOKAWA/1600円(本体価格)
作者・米利休(こめの・りきゅう)
1998年11月29日生まれ、26歳。’23年3月に東京大学工学部を卒業後、1年間の個人事業主を経て、’24年4月から祖父と一緒に農業を始める。SNSを駆使して農業ビジネスの成功を目指す。

「なんで東大出て農業なんか始めたの?」

――東京大学在学中は通販ビジネスを運営していたとか。なぜ農業を?
米利休「大学時代、通販サイトとSNSコンサルティングの事業をやっていたのですが、大学4年生になり研究が本格化したタイミングで、事業が下火になりました。卒業後は生活を立て直すために実家(山形県川西町)に帰省しました。
そこで祖父が約60年続けてきた実家の農業を継ぐという話が舞い込んできたのです。農業の実状を調べてみると、高齢化・継ぎ手不足、収益性の低さなどが原因でどんどん離農が進んでいることが分かりました。
仮に今稼げなくても自分が食べていく余地は十分にあると思い、継ぐことを決心しました。最初の数年間は家庭教師で生計を立てながら、副業で農業をしようと考えていましたが、SNSがバズったおかげで家庭教師はやらずに、今は農業をメインに働いています」

――実際に農業を始めて、周囲の反応はどうでした?
米利休「祖父はうれしいと感じてくれている半面、『せっかく東大に行ったのに農業でいいのか?』と僕の人生を心配しているようでした。同業の方とお話ししていると必ず聞かれるのが、『なんで東大出て農業なんか始めたの?』という質問です。
同業の方や地元の高齢者は『よく農業を継いでくれた』と歓迎してくれる方が多いですが、僕の選択に疑問を抱く方が大半のようです」

農業に若者が増えることが願い

――SNS戦略を積極的に行っていますね。効果の狙いはなんですか?
米利休「SNSを始めた理由は『経営改善』です。僕が農業を始めたからといって、突然耕作面積が増えるわけではありません。売り上げが変わらないのであれば、販売単価を上げて、利益率を改善しようと考えました。現在は認知獲得・販路開拓以外にも、さまざまな問題解決のツールとしてSNSを活用しています」

――年商1億円を掲げています。今後の目標は?
米利休「一番重要な目標は、祖父の農業を潰さずに発展させて、米農家として農業だけで生活できる状況まで持っていくことです。その上で、一般の方目線のカリスマ農家になりたい。
例えば、野球選手になりたい少年や青年が多いのは、大谷翔平選手のような誰でも知っているカリスマ選手がいるからだと思います。現状、不遇で毛嫌いされることの多い農業という職業に、やる気のある若者が増えるよう、僕自身が次世代のカリスマ農家になることを目指しています」

聞き手/程原ケン

「週刊実話」4月24日号より