大の里、史上最速の綱取りに課題山積み 元力士は「精神面の強化が早急な課題」と指摘

相撲のぼり (C)週刊実話Web
大盛り上がりをみせた大相撲春場所の余韻がいまだ残る3月30日、力士たちは早くも三重・伊勢神宮を皮切りにした春巡業へと旅立った。

勝利の美酒を堪能した大の里(24)は、この春巡業を経た夏場所(5月11日初日、両国国技館)でいよいよ史上最速の綱取りに向かう。

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高安(35)との千秋楽決戦前夜、師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)は大の里に「稽古したヤツが勝つから」とLINEでメッセージを送って激励したが、この春巡業をどう過ごすかで来場所、期待に応えることができるかが決まると言える。

優勝したといっても、早急に修正しなければならない宿題がどっさりあるからだ。

「大の里は勝ったときの相撲は豪快です。『これぞ怪物』といった勝ちっぷりですが、負けた相撲は目も当てられない。勝ち星的にも、先場所も12勝止まりだったように、いま一つ物足りない。横綱になるためにクリアしなければいけない課題は山積しています」(大相撲担当記者)

投げに強い力士が苦手

その一つは、負けっぷりがいつも同じであることだ。

「得意の右が差せないと、大の里は判で押したように焦って引く。春場所でも若元春にそこを見透かされたように付け込まれ、押し出された。ちょっと不利になると、我慢できないんですね。いかに我慢するか、精神面の強化が早急な課題です」(元力士)

また、特定の苦手力士がいることも気がかりだ。

「春場所では優勝決定戦で高安に勝ちましたが、それまでに2連敗している。今場所は途中休場したため対戦は実現しなかったが、横綱豊昇龍にも何度も土俵に叩きつけられている。いずれも投げに強い力士で、まだ技術的、戦法的に改良の余地あり、ということです」(一門関係者)

さらに、優勝した翌場所はいずれも一安心してしまうのか、9勝止まり。成績が安定しないことも大きな課題だ。

「精神的に甘い証拠だ。力士になってやっと2年。まだちゃんこの味が染み切っていないんです。4月5日には大の里の郷里、石川県七尾市でも巡業が行われ、大の里本人も『優勝した姿で能登に返ってこれて本当にうれしい』と感無量だったが、その喜びを精進につなげるしかないのです」(同)

ファンの期待に応えるには稽古する以外、道は開けない。

「週刊実話」4月17日号より一部内容を変更