7月から“大衆魚”サバの漁獲枠6割減方針で押し寄せる価格高騰の大波

画像はAIで生成したイメージ
イワシ、アジと並んで“大衆魚の代表格”とされるサバの漁獲量が5年前の約半分に落ち込んでいる。

3月19日、水産庁は資源回復のため今年7月シーズン以降、現在の漁獲枠から6割程度減らす基本方針をまとめた。

この先、サバが食卓から消えるかもしれないのだ。

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日本沿岸で獲れる最もポピュラーなのがマサバ。そのマサバより暖かい海を好むのがゴマサバ。近年では、ノルウェー近海で獲れるノルウェーサバも人気だ。

「ゴマサバの旬は夏、マサバとノルウェーサバは冬です。2018年にサバの漁獲量は54万トンを超えていたが、以降は減少傾向が続き、23年は26万トン余りにまで落ち込んでいます」(漁業情報センター関係者)

青森県八戸市は『八戸前沖さば』ブランドの一大産地だった。

しかし、22年のサバの水揚げ量は2060トンで、18年比で95%も減っているのである。

「5年くらい前から全国でサバの漁獲量が減少傾向にある。不漁の原因は黒潮続流の影響です。黒潮は東シナ海を北上して日本近海を流れる暖流。この黒潮と千島列島から南下してくる寒流の親潮がぶつかることで、日本近海に豊かな漁場をもたらしていた。近年、この流れが沿岸寄り、かつ北向きに変化したことで、日本近海の漁場での海水温が下がりにくくなっている。エサとなるプランクトンが減った上、サバは海水温が20度を超えるとエサを食べなくなるんです」(同)

サバ缶は現在300円前後

サバの漁獲量減少で価格も高騰している。

「1キロ1000円くらいで買えたのが、今は1200~1300円。10年ほどで約1.4倍です。サバ缶にも影響が出ています。漁獲量に追い打ちをかけて、水揚げされたサバは小さく、脂の乗りが悪い。水産加工会社は“水煮”などサバ缶の販売を一時停止した時期もあったんです」(東京・豊洲市場の水産仲卸業者)

美容効果があるとして、サバ缶ブームが起きた頃は1缶100円台だったが、現在は1缶300円前後。

「7月からサバの漁獲枠が約6割減れば、さらなる値上げが予想されます」(同)

大衆魚という呼び名は絶滅しそうだ。

「週刊実話」4月17日号より