新横綱“不在”の春場所 24歳大の里に課せられた「最低ノルマ」と35歳高安が魅せた「ベテランの意地」

相撲のぼり (C)週刊実話Web
新横綱の豊昇龍(25)が途中休場するなど、大波乱の大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)は優勝決定戦の末、大関大の里(24)が3場所ぶり3度目の優勝を果たした。

混戦を制した大の里は、5月11日から始まる夏場所(東京・両国国技館)で史上最速の綱取りに挑む。

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この陰に泣いたのが場所前に35歳の誕生日を迎えたばかりの元大関の高安だった。

連日、ベテランならではの味のある相撲で大阪のファンを魅了し、終盤に入って単独トップに立つこと、2度。これまで8度も優勝戦線にからみながら、勝負の神様が微笑まず、苦い思いをしてきたが、「今度こそ」とファンの期待も高まっていた。

幾度となく挫折を味わった苦労人でなければ吐けない、取組後の“高安談話”も魅力の一つだ。

例えば、8日目に豊昇龍を破って金星を挙げたときには、「(相撲を取っていて)いまが一番楽しい。やりがいがあるし、たくさんの方が応援してくれる」と素直に喜びを語る。

その翌日、幕内の勝ち越し一番乗りを果たすと、「年数を重ねて分かってきたことがある。いま、相撲の醍醐味を味わっている」と大きく頷いた。

高安は「生きている感じがする」と目を輝かせ…

13日目、2度目の単独トップに立ったときは、「こういう状況の中で、相撲を取れるってことは幸せなこと。生きている感じがする」と目を輝かせたが、14日目にまた取りこぼし、大の里に追いつかれた千秋楽はさすがに生きた心地がしなかったに違いない。

共に本割を勝ち上がって迎えた優勝決定戦は、またもや最後で勝負運に見放されたが、それでも高安は引き上げて来るとこう言って前を向いた。

「来場所もまた、優勝目指してがんばります」

しかし27日、日本相撲協会が春巡業の休場力士を発表。高安は急性腰痛症のため休場し、巡業の途中から参加する予定だと明かした。

一方で大の里にとっても、決して満足できる優勝(12勝3敗)ではなかった。逆転優勝はしたものの、不甲斐ない相撲も目立った。

優勝インタビューで来場所の決意を聞かれた大の里は、これまた「がんばります」と話したが、綱取りとなる夏場所は14勝以上の優勝を目指すしかない。

「週刊実話」4月10日号より一部内容を変更