『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』は音楽少年が世界的アーティストになるまでを全編レゴで表現【LiLiCoオススメ肉食シネマ 第307回】

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今回の作品は、スーパーマルチアーティスト、ファレル・ウィリアムスの人生ドキュメンタリーです。

でも、世界的なヒットメーカーのファレルは普通のドキュメンタリーなど作るわけがない。

そう、彼の半生の軌跡をレゴで表現しました。

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はい、レゴです。あのデンマーク発祥のレゴ。ファレルもスタジオも、波もフライドポテトもすべてレゴ!

もちろん、ドキュメンタリーには欠かすことができない仲間たちへのインタビューもバッチリ。スヌープ・ドッグ、グウェン・ステファニー、JAY・Zなど、超ビッグスターもレゴ(笑)。

でも、声は本人です。日本が誇るファッションデザイナーで音楽プロデューサーのNIGOさんも登場。この2人の親交は有名ですよね。

作品は、ファレルの生い立ちからしっかりと描いていて、若い頃に音楽にハマっていく過程はもちろんのこと、子供の頃から音楽に浸っていたファレルがどのように人と出会い、チャンスをつかんでスターになったのか(すべてレゴだけど…)。

中でも、ファレルはおばあちゃん子だったのがとても愛おしい。

私もそうだったので、思わず涙が流れました。

まさかホロッとくる映画とは思わず…(だってレゴですよ)。

こんな面白い形で描かれていても、そこには人間の温もりが溢れている。

超脇役ですが、警官に注目。“あの2人”がファレルの人生を良い方向に導いてくれた。

清々しさを感じさせる映画

人生、次の瞬間、何が起こるか分からない。

明日、どんなチャンスが訪れるのか分からない。

スターになったファレルは自分を見失い、頼まれた仕事だけをこなす方向に行ってしまうけど、それもこの映画では、しっかりと描かれている。

ちなみに、ファレルとマクドナルドの絆にはビックリすると思います。

誰かに話したくなりますよ。

日本では、4月から新生活が始まります。

誰だって行き詰まったり、悩んだりします。

逆に、ベテランの皆さんはマンネリでやり甲斐を感じなかったり…。

“子供が遊ぶレゴの映画なんて〜”などと思わないで。

洋楽が好きで、人の人生に興味があって、映画が好き、そんなあなたは絶対にチェック!

フラッと見ても損はさせません。

清々しい気持ちでいっぱい、そして、ファレルのヒット曲『Happy』やダフトパンクとの『Get Lucky』をハミングしながら劇場から出ることでしょう。

ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース
監督:モーガン・ネヴィル
出演:ファレル・ウィリアムス、グウェン・ステファニー、ケンドリック・ラマー、ティンバーランド、ジャスティン・ティンバーレイク、バスタ・ライムズ、ジェイ・Z、スヌープ・ドッグ他
配給:パルコ ユニバーサル映画
※4月4日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

音楽界のみならず、ポップカルチャー界でも革命的な存在のファレル・ウィリアムス。70年代バージニアビーチで生まれた孤独な音楽少年が、世界的ヒットメーカーになるまでの半生を全編レゴアニメーションで表現。スヌープ・ドッグ、ケンドリック・ラマー、ジャスティン・ティンバーレイク、グウェン・ステファニーら豪華スーパースターがファレルの並外れたキャリアと音楽業界への影響を語り尽くす。

「週刊実話」4月10日号より

LiLiCo(リリコ)

映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。