メンバーからの嫉妬、学校でのいじめでメンタル崩壊…国民的アイドルグループ元メンバーの苦難



拉致られそうになったことも…

身の危険を感じるような嫌がらせをされたこともあったという。

「素行不良というか、問題のあるファンにメンバーが私の個人情報を教えていたんです。それで待ち伏せされて、車で拉致られそうになりました。地方遠征の時、私の泊まった部屋にファンが押しかけて来たこともあります。幸い、どれも無事に済みましたが、そこまでしようとするメンバーの悪意が恐ろしくなり、ママと相談して脱退することにしたんです」

脱退後、「普通の女の子」に戻ろうとした麻里奈さんだったが、それもうまく行かなかった。

「アイドル時代、なかなか学校に行けなかったこともあってクラスで孤立したんです。SNSでの私に対する誹謗中傷を知っている子は『あの子ヤバイらしいよ』と陰口ばかり叩くし、幼馴染みだった子にもシカトされました。校内を歩けば『あれで元アイドルとかウケるんだけど』とかバカにされたし、タチの悪い男子からは『俺、アイドルとヤッたことないんだよねえ』とか『アイドルってどんなパンツ履いてるの?』とか卑猥な言葉を言われたり、突然取り囲まれることもありました。アイドルって人に夢や希望を与える存在だと思っていましたが、実は嫉妬とか偏見で見られる存在なんだって分かって、毎日怯えていました」

「メンタルが崩壊寸前だった」という麻里奈さんは間もなく不登校となった。

「それからはフリースクールや通信制の学校で勉強しました。半分引きこもっていましたし、体型や髪型が変わったことで同級生やファンの人と街で会っても気づかれなくなったので、やっと普通の生活に戻れた感じです」

2年遅れではあるが先日大学受験に合格し、4月から花の女子大生になるという麻里奈さん。

「地元も離れますし、これで本当に新しいスタートが切れます」と語る彼女は、晴れやかな笑顔が印象的だった。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。