2025年は“終わりの始まり”…世界の経済社会は大転換期を迎える【森永卓郎さん特別寄稿1】

森永卓郎 (C)週刊実話Web
「グレートリセット」の後、世界の経済社会ではグローバル資本主義と真逆のことが起きる──。

「モリタク」の愛称で親しまれた経済アナリスト、故・森永卓郎さんが残した“2025年の大予言”とは…。(全4回の1回目)

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最近、「グレートリセット」という言葉が世界で急速に広まっている。

より良い社会を実現するために、既存のシステムをリセットして再構築することを意味するが、なかでも2025年に世界の経済社会が、非連続的な構造転換を果たすだろうという見立てが浮上している。

私自身も、それは正しいと考えている。

根拠は二つある。

一つは、立石一真氏の「予言」だ。

オムロンの創業者、立石氏は未来のビジョンを描くため、1960年代にSINIC(サイニック)理論を開発し、1970年に発表した。

SINIC理論は、科学、技術、社会の三者が、相互に影響を及ぼしながら発展していくという考えで、それに基づいた未来シナリオを提示している。

スマホ社会を予見していたSINIC理論

いまから50年以上も前に、この理論は1974年から始まる情報化社会の到来を予測し、その後も経済社会の構造変化を次々に言い当てていくのだが、2005年からの経済社会は「最適化社会」に突入すると予言していた。

最適化社会というのは、すべてのモノやヒトがインターネットでつながり、個人の多様なニーズが容易に満たされる社会のことだ。

50年前はスマートフォンの登場など想像もつかなかったはずだが、いまのスマホ社会を見事に予見していたのだ。

そのSINIC理論は2025年に経済社会が再び大きな構造転換を果たし、ここで「自律社会」に変わっていくだろうと予測している。

自律社会は、(1)自立、(2)連携、(3)創造の3本柱で構成される。

自立というのは、一人ひとりが、あるいは一つひとつの企業が、精神的にも、経済的にも、独立することだ。

ただ、人や企業は社会的な生き物だから、孤立していたら生きられない。

だから一見、自立と矛盾する「連携」が必要になる。

そして、自律社会の最も重要な構成要素は「創造」だ。

今後、人工知能(AI)の発達で、定型的な仕事はコンピュータやロボットがやるようになる。

そのとき人間には、創造的な仕事しか残されていない。マニュアル労働全盛の現在における働き方とは、真逆のことが起きるのだ。

週刊実話増刊1月29日号『検証 2025年の大予言』(小社刊)より