給食のおかわりをめぐって大乱闘! 性欲・食欲・睡眠欲を抑えきれない「モンスター中学生」



更衣室を覗くのは日常茶飯事

食欲・睡眠欲とくれば、次は性欲だが、これもA君は抑えが効かなかったという。

「女子トイレや女子更衣室を覗くのは日常茶飯事でした。さすがにスカートめくりのようなアナログなことはやりませんでしたが、階段の下にいて、女子生徒のスカートの中を眺めていることはよくありましたね。珍しく体調が悪いと言って保健室で寝ていたこともあるんですが、その時にはベッドの中で自分で慰めていたそうです。養護教諭が『そういうことは家でやりなさい』と注意すると、下着もはかずに仁王立ちになって『生理現象なんだからしょうがねえだろ!』と言い返したそうです」

一事が万事こんな調子では学校としてもたまらないだろうが、担任である麻衣子さんはもっといたたまれなかった。

「Aの保護者にも何度も注意を促しているんですが『その子は野生児なんですよ(笑)』というだけで改善しようとはしてくれませんでした。他の保護者からのクレームも後を絶たないし、Aのせいで不登校になった生徒もいれば、学区外の中学に転校してしまった生徒もいるくらいです」

常軌を逸した問題児ぶりに、麻衣子さんは恐る恐るAの保護者に対し「発達障害の可能性があります」と受診を勧めたこともあるそうだが、「失礼なことを言うな!」と激昂し、「息子は個性が強いだけだ!」と言って譲らなかったという。

「日和見主義の校長とヘタレの教頭にはいくら相談してもらちが明かないし、矢面に立たされるのはいつだって担任の私でした。教育委員会に訴えてものらりくらりかわされるだけだし、ホントに地獄でしたよ」

この3年間で12キロ痩せ、実年齢より10歳近く老けてしまったという麻衣子さん。彼女が卒業式で流す涙は「嬉し涙」に違いない。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。