もはや夢物語ではない! 細胞の修復、デジタル不死…人類が“永遠の命”を実現する方法【不老不死の研究最前線1】



脳と意識をアップロードして不死に?

永遠の命という概念はさまざまであり、近年は寿命のある肉体そのものから脱却した「デジタル不死」の可能性が追求されている。

デジタル不死とは脳と意識(心)をコンピューターに移植して、肉体が滅んだ後も永遠の命を得ることだ。

かつてはSF小説や映画の世界で夢見られてきたことだが、こちらも徐々に現実味を帯びつつある。

世界各国の研究機関や大学、IT企業などでは、意識をコンピューターにアップロードする「精神転送」の実用化に向けて、着々と実験が進んでいる。

「電気自動車やX(旧ツイッター)で有名なイーロン・マスクが、脳とコンピューターを接続する技術の研究に出資したことが話題になりました。現在、少なくない研究者が『脳を完全にスキャンして、意識を肉体から切り離すことは不可能ではない』と考えています。既存のコンピューターの性能ではまだ無理ですが、ムーアの法則(集積回路上のトランジスタ数が2年ごとに倍になるというもの)に従えば、実際に脳をアップロードするのに必要な容量を持つコンピューターは、ここ数十年の間に開発できるといわれています」(ITジャーナリスト)

人工知能(AI)研究の世界的権威である未来学者のレイ・カーツワイル博士は、2045年ごろに「シンギュラリティ(技術的特異点)」が到来すると予言しているが、この時期に精神転送が可能になると予測する学者もいる。

現在からすると、わずか20年後だ。

「意識のアップロードさえ可能になれば、体の機械化のほうは段階的に実現しそうなので、いくらでも付け替えることができる。壊れた部分は修理するか交換すればいいので、われわれは半永久的に生き続けることができます」(同)

ただし、このデジタル不死は、新たにさまざまな問題を生み出すことになる。

例えば、コンピューターに意識の部分まで完全にコピーすることが可能であれば、まったく同じ“もう一人の自分”を生み出せることになってしまうのだ。

そうすると自分が何人も同時に、同じ世界に存在することが起こり得るわけで、もしそうなった場合、本当の自分はどこの誰なのかという、非常にややこしい疑問が出てくる。

こういった観点から、デジタル不死に関しては否定的な意見があるのも事実で、そもそも肉体と意識を切り離してアップロードすることは、実現不可能であるとする研究者も多い。

『検証 2025年の大予言』(小社刊)より