東京大空襲から80年…下町で行われる法要と今なお残る“傷跡”



遺体が仮埋葬された小学校や公園

また、公園から200メートルほど離れた場所にも、空襲の悲しい歴史を持つ場所がある。

校庭が区管理の「菊川公園」としても整備されている菊川小学校だ。

開校110年を超える同校は、空襲後、遺体の仮埋葬場所として活用された。

埋葬された遺体は4515人だとされ、付近にある榎稲荷神社の敷地内には犠牲者を偲ぶ竪川地蔵尊が建立されている。

竪川地蔵尊の由来 撮影:シンディー・カート

さらに、菊川駅の1駅隣にある住吉駅にも、空襲の傷跡を残す公園がある。

広い敷地にスポーツ施設などを備える猿江恩賜公園だ。

この土地にも、空襲後には1万を超える遺体が仮埋葬されたと記録されている。

入口付近に上部が欠損した石碑があるが、真偽は不明ながら東京大空襲の際に損傷を受けたといわれている。

空襲で上部が欠損したといわれている石碑 撮影:シンディー・カート

都の交通局が公開している1日の利用者数によると、菊川駅は都営新宿線でワースト2位。

23区内でありながら目立たない小さな街といえるが、多くの戦跡が存在するあたり、空襲がいかに大きなできごとだったかを物語っている。

今回訪れた場所は、いずれも高齢者の姿が多く目立った。

戦後80年、こうして人々の記憶から戦争は薄れていってしまうのか。

取材・文/シンディー・カート