健康でも労働地獄、寝たきりでも生き地獄…「“人生100年時代”実現しない」説は朗報か【長寿の裏側2】



政府や金融機関が財産と労働力を吸い上げる

健康でも労働地獄、寝たきりでも生き地獄──。しかし、一つ朗報もある。

それは「人生100年時代などそもそも実現しない」という説だ。

早稲田大学名誉教授で生物学者の池田清彦氏は、最大寿命が種によって決まっていることを指摘する。

ヒトが生きられる限界はおおよそ115年といわれており、ごくまれにこれを超えるケースもあるが、今日まで115年を超えて生きたとされる人物は、全世界で50人もいない。

最大でも115年が限界のところを、全体平均が100年を超えるなど確率的にもあり得ないというのが、池田氏の考えである。

では、「人生100年時代」という言葉が、どうしてこうも叫ばれているのか?

これは完全に政府の陰謀なのである。

寿命が延びて老後の生活が延長されると、当然ながら資金が余計にかかる。

老後2000万円問題が議論を呼んだことからも分かるように、多くの国民は不安に駆られ、来たる老後に向けて備えようとしたはずだ。その一つが年金である。

「人生100年時代」という言葉が生まれる前の2015年、国民年金の未納率は36.6%だった。

これが2023年になると16.9%まで下がるのだから、かなりの人々が老後に危機感を覚え始めたことは一目瞭然だろう。

にもかかわらず日本政府は「生涯現役」をうたって、年金給付年齢を段階的に引き上げようとしている。

現に、ひと昔前は60歳から支給されていた厚生年金が、2013年に原則65歳からとなり、今後は70歳、75歳…と、徐々に引き上げていくという指摘もある。

また、時流に乗って、金融商品を次々と販売し始めた金融機関の動きもきな臭い。

老後の生活や子や孫のためにと貯めていた、銀行預金やタンス貯金をつぎ込ませるため、「人生100年時代」というフレーズを利用しているのではないだろうか?

政府が「一億総活躍社会」を掲げたのが2015年、『ライフ・シフト』が発売されたのが2016年、あれから10年近く経過したが、政府はタイミングよく現れた「人生100年時代」というキャッチフレーズに便乗し、いまなお国民から財産と労働力を吸い上げようとしている。

それでも、あなたは100歳まで生きたいと思えるだろうか──。

『検証 2025年の大予言』(小社刊)より